お三伝説とともに関外を守る~開拓の守護神「お三の宮日枝神社」

横浜発展の礎の裏に、「お三」の言い伝え

「お三伝説」という話を聞いたことがありますか?

市営地下鉄ブルーライン吉野町駅から徒歩3分、マンションや学校の立ち並ぶ地域の一画にひっそりとたたずむ「お三の宮日枝(ひえ)神社」にまつわる言い伝えです。

横浜で学生時代を過ごした私ですが、お恥ずかしながらそんな話はまったく知らず…。ためしに調べてみるとこの伝説、横浜発展の歴史にもつながる興味深い話であることがわかりました。今回はそんな「お三伝説」と「お三の宮日枝神社」についてご紹介します。

「吉田新田」を守る「お三の宮日枝神社」

「お三の宮日枝神社」の周辺地域は、かつての開港場を指す「関内」と区別し、開港場の関門の外側にあることから「関外」と呼ばれてきました。この一帯は江戸時代の材木商であった吉田勘兵衛(よしだかんべえ)が開墾した埋め立て地です。

この埋め立て事業、実は大変な難工事だったそうで、完成した潮除堤(しおよけつづみ)が大雨による川の氾濫で流されてしまうという不運にみまわれ一度は失敗してしまいます。

それでも再チャレンジを試み、11年の歳月をかけてなんとか完成した埋め立て地は「吉田新田」と名付けられました。

この「吉田新田」に住む人々の保護と五穀豊穣を祈願して、新田内にはお寺と神社が一つずつ建立されます。それが現在の長者町8丁目に建てた「常清寺」(戦争で焼失したため現在は南区清水ヶ丘に移転)と「お三の宮日枝神社」です。

日枝神社①

日枝小学校の向かいにたたずむ日枝神社。

苦心の吉田勘兵衛に「お三」からの申し出…

さて、「お三の宮」の由来として言い伝えられている「お三伝説」のお話。

「お三」は吉田勘兵衛に仕えた女性と言い伝えられています。訳あって夫の仇を討ちたいと流浪していたところ、埋め立て工事の成功を祈願し日蓮宗総本山身延山久遠寺に参っていた吉田勘兵衛とめぐり合います。

そこで勘兵衛から自分の家で時期を待つよう促されたお三。家族として迎えられ、勘兵衛からの恩を受けることとなります。

工事が思うように進まない勘兵衛の苦心を見ていたお三は、埋め立て工事が再度始まるころ、勘兵衛への恩返しとして自ら「人柱」となることを申し出ます。人柱、すなわち工事の成功を祈願する生贄のようなものです…(涙)。

勘兵衛は人命の尊さを説き申し出を断ろうとしますが、お三の決意は固く、人柱として海に身を投げたと言われています。そして埋め立て工事は無事に完遂するのです。

とはいえ、この「お三伝説」は事実を裏付ける史料が何も残っておらず、「お三の宮」の由来については諸説あるようです。後世のつくりばなしだったにせよ、人々の工事成功を祈願する気持ちがそれを生んだということなのかもしれません。

日枝神社②

ありがとう、お三さん…。

9月には「かながわの祭50選」にも選ばれている盛大なお祭りも

今年は残念ながらすでに終わってしまいましたが、9月には「例大祭」という盛大なお祭りも執り行われます。「お三の宮秋祭り」として親しまれ、「かながわの祭50選」にも選ばれる横浜屈指の規模を誇るお祭りとのこと。大きな神輿が、伊勢佐木町をはじめとする関外を練り歩く様は圧巻のようで、私も来年はぜひこの目で見たい!と思っているところです。

静かなたたずまいの神社なので、何も知らなければ思わず素通りしてしまいそうですが、実は横浜発展の礎となった埋め立て事業にまつわるこんな伝説があるのです。お三もきっとどこかで、今の横浜を見守ってくれているのかもしれません。(いや、それはちょっと怖いかもしれませんが…。)

スポットデータ

お三の宮日枝神社

 


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この記事の著者

岸野 ちほ

岸野 ちほ副編集長

九州生まれ九州育ち。学生時代を横浜で過ごし、横浜を第二の故郷と呼んでいる。ハマスタでアルバイトをしていたことがきっかけでベイスターズファンに。ファン歴は10年。

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