2016年10月25日(火)

ワインボトルが燈る頃、ポンテ(橋)を渡り異空間へと誘われる。

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アバター画像 ウスイ 潤

関内ベイスターズ通りと弁天通りの交差する地点から徒歩数十歩。なめらかに曲線を描く地下へと続く階段。いざなわれるように降りると、そこにイタリアンレストランPonte(‟ポンテ”とはイタリア語で‟橋”の意)が、静かにそのドアが開かれるのを待っていた。

「秋の日はつるべ落とし」。夕刻も18時になり、ほんのり燈り始める関内。一軒のイタリアンレストラン、Ponte(ポンテ)のオープン時間だ。

階段をおり、そのドアを開く。

店に入りまず目に飛び込む、ゆったりと椅子が置かれた奥行きの広いダイニングカウンター。その向こうに明るく開かれたオープンキッチン。そこで忙しく手を動かすシェフの姿とは対照的な静寂を保つテーブルは、街の喧騒から逃れ四次元の世界に渡ってきた…。

そう、あの階段、あの扉は異空間へのポンテ=橋だったのか。

特筆したいのはワイン。設えられたセラーには約600本のワイン。すべてイタリア産だ。

さらに店内にもセラーが置かれ、料理に、そして好みや気分を(もちろん価格も)伝えワインを選んでもらえる。

毎日決められたグラスワインはなく、希望を伝えれば応えてくれるオーナーソムリエの橋本氏に相談しよう。イタリアワインのエキスパートだ。

2016年6月、関内の某有名イタリアンレストランから独立オープン。プロフェッショナルとしてのソムリエ歴は15年。

この業界に足を踏み入れてからというもの、イタリア料理店での経験が畑となり、実となったのがイタリアンレストランのオーナー。

旬の素材を活かした調理でおもてなしをしたいとの思いで、あえてイタリアの地方色にこだわらない。

食事のオーダーは、1人前プレートをふたりでシェアするスタイル。もちろん、ひとりひとり別皿に盛られ供出される。

アンティパスト、パスタも肉料理もこのスタイルで、負担なくコースのように料理が楽しめるという、日本人の嗜好を経験から知る橋本氏の気遣いが感じられる。

 
さあ、料理とワインのマリアージュの一部をご紹介しよう。

まずは冷たい前菜から、アイナメのカルパッチョ。ワインはヴェルデッキオ・デ・カステッリ・ディ・イエージ。

フレッシュトマトソースと柚子をきかせたソースで爽やかさとアクセントを、オリーヴオイルで旨みをコーティング。しっとりとしたアイナメの身が舌の上に乗ると、体温でじわーっと甘みが口に溶け広がる。

ワインはイタリア・マルケ州の地ぶどう、ヴェルデッキオ。

フレッシュな柑橘系のニュアンスを持つワインで、シーフードに相性が良いとされている。

今回こちらでいただいたヴェルデッキオ・デ・カステッリ・ディ・イエージは、柑橘系といってもレモンやライムといった若さばかりが際立つものではなく、淡い山吹の色調を持ち、心地よい酸、そしてアーモンドのような香ばしさが、フレッシュなアイナメのひと皿に奥行きを与えている。

お店詳細

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