関内新聞

【関内歴史めぐり】歴史も学べて夜景も楽しめる横浜税関「クイーン」

歴史ある建物が多く立ち並ぶ、関内エリア。そんな関内に、横浜三塔(※)と呼ばれる建造物が存在するのをご存知だろうか。「キング」「クイーン」「ジャック」の愛称で親しまれる建造物で、三塔すべてが横浜市の歴史的建造物に認定されている。

今回はそのうちの一つ「クイーン」の魅力を歴史とともにご紹介。

 
JR関内駅から赤レンガ倉庫方面にみなと大通りを歩いて15分、緑青色のドームが特徴的な建造物がある。1934年竣工、「クイーン」の愛称で親しまれる横浜税関(中区海岸通り1-1)だ。

横浜税関は、全国に9か所ある税関の中でも154年という長い歴史を持つ。「クイーン」は3代目の庁舎で、2代目庁舎が関東大震災(1923年)で焼失した後、1934年に建設された。

ロマネスクなど洋風建築様式が混在しており、「クイーン」という愛称の通り女王らしい気品のある雰囲気が漂う。

建設当初、赤胴色だったドーム型の屋根は数十年の時を経て、現在の緑青色に変化

横浜市の歴史的建造物にも認定されており、夜にはライトアップ演出が行われている。

夏:季節によってライトアップの方法を変えている(写真提供:横浜税関HP)
冬:季節によってライトアップの方法を変えている(写真提供:横浜税関HP)

外から眺めるだけでも十分楽しめるが、歴史をもっと感じたい方には、庁舎1Fにある「横浜税関資料展示室」に立ち寄ることをおすすめする。

入場料はなんと無料。入口では税関イメージキャラクター「カスタム君」が出迎えてくれる。

麻薬探知犬をモデルとした税関イメージキャラクター

展示室には、横浜港・横浜税関の歴史年表、これまでに取り締まった密輸の記録、明治時代の税関職員の制服など様々な資料が展示されており、横浜税関の歴史と役割をしっかり学ぶことができる。

横浜港・横浜税関の歴史年表

取り締まった麻薬・拳銃などの密輸の記録
明治時代の税関職員制服

「(展示室には)年間約7万人の方が来場します。特に、小中学校や高校、地元の警察など、新入生が入る4月は見学者が多いですね」と話すのは、取材日に説明員をしていた横浜税関OBの男性。日替わり交代の説明員は、「クイーン」はもちろん、横浜港や関内の歴史に詳しい人が選ばれているという。

「クイーンは税関ですから、やっぱり海から眺めるのが素敵ですよ。大桟橋もいいですが、ベイブリッジからが特におすすめです。道路を挟んで向かい側の高架歩道の山下臨港線プロムナードに行けば、正面から見ることができますよ」と教えてくれた。海側からは、天気が良ければ海に映る逆さの「クイーン」を見ることもできる。

逆さのクイーン(写真提供:横浜税関HP)

その町の歴史を知ることは、今の町を知ること。「クイーン」に足を運んで、歴史を学びながら、横浜らしい景観を楽しんでみては?

 
※横浜三塔 ~キング、クイーン、ジャック~

横浜三塔は、それぞれ神奈川県庁=キング、横浜税関=クイーン、横浜市開港記念会館=ジャックという愛称がついている。外国から来た船乗りたちが海から見える横浜三塔を見て、トランプのカードになぞらえて名づけた、といわれている。

当時は他に高い建物がなく、この三塔が海から目立っていたそう。
キング・クイーン・ジャックが、地上から同時に見える場所で横浜三塔を眺めると願いがかなう、という都市伝説もある。

 

【横浜税関アクセス】

横浜市中区海岸通1-1

・横浜駅東口バス乗り場から26系統バス「横浜税関前」下車 徒歩1分
・みなとみらい線日本大通り駅下車 徒歩3分
・JR京浜東北線・市営地下鉄関内駅下車 徒歩15分

【横浜税関資料展示室】

開館時間:10時~16時(5月~10月は10~17時)
入場料:無料

モバイルバージョンを終了