関内新聞

【霜降】Barメシの域を超えた肉を食べさせる凄腕のBlackVelvet!

作業が片付かず、すっかりと終わりが遅くなってしまった。

集中して作業に没頭していたこともあり、気が付いてみると晩飯という時間からは、大きくずれ込んでしまっている。

こんな時間からアイツを呼び出したとしても、きっと美味いもんを食べ終わったと、出不精になって付き合ってはくれないだろうな。

※アイツとは、関内新聞のグルメカテゴリBarカテゴリの記事で、読者に楽しさと美味しさの感動を伝えるために、時折手だけで出演するボランティアスタッフのパクパク隊のこと。前回は中華街のNORGEの回で登場しているが、最近はご無沙汰の傾向にある。

 
仕方が無い…か。
 

久しぶりにこんな夜も良いもんだ。

そう決め込むと、いつものようにアテもなく街に繰り出すことにする。

 
何が食べたいか…とか、何が飲みたいか…などという気分ではない。そんな夜には、関内の真ん中から東西南北どちらに一歩を踏み出すかで、ノレる気分が決めてくれる。

そう決め込むと、桜通りをJR関内駅の方に…、そう西に向かって一歩を踏み出した。

 
今夜の気分は桜通りなのか?
 

この通りにも胃袋を魅了する、多くの飲食店が軒を連ねる。その通りを目で何かを追い求めながら、ゆっくりと歩いていく。

が、今夜の胃袋は、この通りで足を止めることを許さない様だった。二日酔いの朝に、すっきりした気分になりたいとやって来た、酸素カプセルの店がある建物を右に折れ、関内の入口ともいえるたこ焼き屋の交差点を更に進み、気が付けば馬車道通りすらをも超えていく。

胃袋の気の赴くままに任せ、辿り着いたのは常磐町の6丁目界隈。このあたりは隠れきれない良店があると、居酒屋で呑んだ後の2軒目として、しばしば訪れたことがあるエリア。

胃袋よ…、
今夜のお前の気分は、どこに連れて行こうとしているのだ…。




たばこの自販機を通り過ぎ、何となく後ろ髪が惹かれて足を止め振り返ってみると、そこにはビシビシと爽やかに怪しげを放つ魅惑的な扉が、手を伸ばして開けて見ろよと主張している。

一歩下がってとしても、躊躇う心を確かめるかのように、固唾を飲むこちらに向けて、角がちゃんと尖ったムードで攻めてくる。

すっかりと足を止め、そして最後は、この重厚な扉を開く決意を固めるだけ。今夜の気分は、この店へと連れて来たかったのだろうか?それとも、この場所で胃袋が満足できると感じているのだろうか?

 
夜が遅くなったとは言え、ランチを摂ってから何も口にしていない胃袋が、どう見てもBar、どこをどう見ても酒を美味しく飲むBarであると思える出で立ちの店に、なぜ入らんとしているのか。

 
直感を信じてみるか。
 

そう決め込み重厚感バツグンの扉を開くと、更に広がる怪しげとは違う魅惑的なムード。カウンターだけの店内は、しっかりと雰囲気を作り暗めの店内にお客が所狭しと並んでいる。

そして、更に一歩店の中へと足を進めると、視界の右側からカウンターの中に、これまた所狭しと並ぶ無数のアルコールのボトルが、青紫の灯りに魅惑的に…、いや、その域を適切に超える妖艶さを放っていると言った方が良かった。

 
なぜに今夜はBarだったんだ…。
 




タップリと働き、セッセと作業を片付け、気が付けば21時にも近い時間。確かに普段なら、2軒目にハシゴしても間違いではない時間とも言えようが、腹に何かを入れたい気分であることから、時間には関係なくしっかりとしたメシが食べたい胃袋だ。

それなのに、その胃袋がこの場所に当たりを付け、久しぶりに脳がサインを出す前に扉を開けたという。

 
魅惑的な色に神秘を感じたからなのか…。
 

荘加さん:
何からお飲みになりますか?

 
寒い中を今夜は、比較的長く歩いて来た。まっすぐこの場所に向かえば、これほどまでに身体を冷やすことはなかっただろうが、今夜は目で見つけた店にも興味を示さない胃袋がいた。ぶらぶらとアテもなく彷徨ってしまった夜だったから、足元から髪の先まで冷たく感じる程になっている。

 
胃袋にカイロを貼るか…。

そう心に決めると、これ以上に身体を冷やさないように、冷たい取りあえずのビールはパスして、胃袋の中から暖める飲み物を選ぶ。

そう…、

スコッチストレートで…だ。

 

グビっ!


ふぅ~。

口の中にウイスキーの香がいっぱいに広がった途端、今度は喉から食道にかけて熱くなり、その熱がやや落ち着いた頃に胃袋がポカポカになる。

寒い国の男たちが、キツイ酒をストレートで一気にやる気持ちは、今ここにこうして現れてくる。これこそが胃袋にカイロをやった良い気分。

 
さぁて…。
 

ツマミは何にしようか…。




Barには長い髪の女性が良く似合う…。そんな歌のようなフレーズが頭によぎり、カウンターの向こうで楽しそうに会話している女性客の手元にくぎ付けになる。

(゚ロ゚ノ)ノ
ナイ♪エン♪フォーク♪


なんとな!?

Barにてナイフとフォークで、お肉を食べているとな…。

良く見ると、こちらの男性客も何やら美味そうな、分厚い肉を切り分けようとしているではないか…。

ココはBarだったはずだ…。いや、その存在感だけで、この店がBarだと判る重厚感たっぷりの扉を確かに開けた。この手で間違いなく開けたのだから、ここがBarであるということは間違いが無い。

なのにも…だ。




カウンターの向こうでは、髪の長い女性がしっかりと脂の乗った肉を頬張ってるうえ、こちらでも今まさに美しい脂の照りのぶっとい肉を、まるで欧米人の食卓を輸入してきたような光景のなか、今にも頬張りはじめようとしている。

 
わかったよ…。
 

今夜の胃袋よ。お前はアレを求めて寒い夜空を彷徨ったんだな。

いや、違うか。腹が減ったと理性と理論で目は食べ物やばかりを見ていたが、どれほど空腹にその身が小さくなったと感じようが、胃袋よ、お前はアレを求めて、この店にたどり着くまで歯を食いしばったんだな。

 

Barメシ

 

これで正解だろうよ、今夜の胃袋よ。

この街で彷徨うようになり、この街に多く見られるBarには、高い確率で最高なまでものBarメシが存在すると、身を持って体験していた。仕事が遅くなり、スタートダッシュに遅れたとしても、もう良い調子になり始めている客に囲まれ、淋しく食事を済ますのではなく、今スタートしてもまだまだ宵の口ともいえるBarで食すBarメシで、腹も喉をも満足させる、そんなディナーにして欲しかったんだな。

荘加さん:
お肉をお召し上がりになりますか?お肉料理にはこだわりがありまして。バーテンダー以外に、以前は焼肉屋もやっていたことがありましてね。だからお肉は手を抜かずに、良い物をご提供したいと思っているんですよ。

荘加さん:
これはシャトーブリアンです。これほどに霜降りが綺麗なお肉は、そうそうはご覧にならないでしょう。Black Velvetでは、シャトーブリアンもお召し上がりになっていただけるように、基本的にはいつでもご提供できるようにしています。

 
凄まじぃな…。
 

これがBarで食べられるお肉だというのか。いや待てよ、Barだと思っているのは間違いなのかも知れんな。重厚感のある扉をくぐった瞬間に、放たれた妖艶な空間。薄暗い店内のカウンターの中で光る青紫の照明に、魔法に掛けられたようにBarだと見間違えているのかも知れない。

ち、違うか…。

胃袋にカイロだと、訳の分からない理屈で、空きっ腹にスコッチを流し込んだつもりが、実は脳に吸い込んでしまい、まともな判断が出来なくなっているからなのかも知れない。




(*゚ロ゚)ノ
カ・ク・テ・ル♪


いや、ここは間違いなくBarであっている。そして、そう誤ったとしても、それは脳が正しい判断をしている証拠だとも言えるということだ。

Barであるかそうでないか。それを判断するのに、ここに美味そうなお肉、しかもシャトーブリアンを見せつけてきたから悩むということであれば、それは正しすぎる感覚。

 
と、同時に…。
 

Bar=(イコール)お酒を飲む場所であり、旨いメシはBarにはないと思い込んでしまっている、常識という名の勝手な思い込みが、正しい判断ができる脳でありながら、間違った想いを描いてしまっている結果だということに、この街に来るまでは気が付けなかった。

 
この街のBarには、Barメシがあるんだ!

Barでシャトーブリアンのくどくない脂に舌鼓を打ち、

Barでサーロインの脂の甘味を堪能する。

シャトーブリアンを塩で頂く喜びを覚えれば、サーロインには柚子コショウの風味で化粧してみる。




それに妄想を繰り出しながら堪能するのは、

ワインでも…、

カクテルでも良いってことだな。

 
ふふっ…。

本気になったBarは、これほどまでの肉を食らわせてくれるということか。

荘加さん:
いえいえ、Black VelvetはBarですよ。だから食べ物をリーズナブルにご提供して、お酒を楽しんで頂きたいと思っています。

 
確かにそうだな…。
 

自家製だというこのハンバーグ。しっかりと肉のうま味が凝縮している。ゴツゴツと肉本来の食感がたっぷりと残り、殆どつなぎを使っていないだろうと思われるほど、最初から最後まで正しく肉のハンバーグだと感じさせてくれる。

そしてこのハンバーグは、500gのボリュームで1,000円で提供してくれるとあっては、既にBarメシの領域を大きくと超越して、新しい世界を作り出していきそうな勢い。

 
う~む!
 

至福なまでにも最高だ。
 

 
今夜は先に見つけられちまったか…。
 

空腹に焦りを見せて、理性一杯先行しれ目で選ぶのにも限界があるということか…。桜通りから常盤町通りで関内の街を横断し、ここまで歩かせた胃袋にいっぱい食わされてしまったようだ。

 
全ての先入観を捨て、邪念にとらわれることなくしっかりと吟味すれば、見たこともないダイヤモンドのようなお肉が食べられるということか…。

 
さぁて、

腹もいっぱいになったし、酒も飲んだし、次はどこに行こうか…。
 

おっと


 
もうBarでしっかりと飲んだんだった…。今夜は遅いし、1軒で終わりにして帰るとするか。

 

ショップデータ

Black Velvet
  • 横浜市中区常盤町6-74 1F
  • TEL:045-641-5557
  • 営業時間:20:00~7:00
  • 定休日:日曜

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