「下を向いて歩いても、イイものなんて落ちてないよ。(だからまっすぐ前を向いて歩きなさい)」と、子供のころから親からも、学校の先生からも言われ続けてきた言葉。
その言葉を胸に、ときには「上を向いて歩こう~♪」とスキヤキソング(坂本九氏の大ヒットソング。海外では“SUKIYAKI”の名で知られている)に元気づけられ、今日のこの日まで生きてきた。
なのに、それなのに…、である。
JR関内駅前から市役所周辺、地下鉄関内駅付近、そして横浜DeNAベイスターズの本拠地横浜スタジアム内に至るまで、下を向いて歩いていると、あるものが発見できるというではないか!!
その正体はマンホール
日本全国の下水道事業の一環として9つの地域を色分けし、さらにご当地デザインをあしらったマンホールが設置されている。これがマンホールカードとしてコレクションできるように自治体等で無料配布されていることはマンホールマニア界では知られているところである。
しかし横浜に設置されているマンホールはこれだけではない。わが街関内が誇るマンホールデザインをここに紹介しよう。
まず、JR関内駅南口を出るとすぐに目に入るのがこのマンホール。ブルーの色調が目に鮮やかに飛び込んでくるようだ。
このマンホール、公民連携によるプロジェクトで、横浜DeNAベイスターズの寄贈により関内周辺の景観に配慮。
野球ファンだけでなく、市民や来街者の皆様が親しみやすいデザインとなっており、前述のJR関内駅前から市役所周辺、地下鉄関内駅付近、横浜DeNAベイスターズの本拠地横浜スタジアム内、3つのエリアに計53個が設置されている。
デザインは3つ。
次は53個のうち、3つしかないグレー
なぜグレーなのか、横浜市環境創造局下水道事業調整課の方にたずねると、「地域の景観にあわせた」配慮だという。
そういわれてみると、敷設されている周辺のブロックがグレーである。なるほど、カメレオンのように色模写し、気配を隠しているが「よく見ると横浜DeNAベイスターズ!!」という、探し当てたときの喜びを膨らませる演出をしている感もあるだろう。
JR関内駅周辺設置地図はこちら。グレーのマンホール設置場所は、探してみてのお愉しみとしたい。
キョロキョロしながら歩いたので、時間と歩数が余計にカウントされてしまっているが、「関内に来たついでにベイスターズマンホールを探してみようか」という気分になったら、ぜひ参考にしてほしい。
続いては、地下鉄関内駅周辺のマンホール
このエリアのデザインは1つ、ブルーのみ。JR関内駅前のものと同じものだ。
このエリアの特徴は、いわゆる「関内エリア」のボーダーラインまでマンホールが設置されている、ということにある。
関内駅から桜木町方面に進むと見えてくる、みなとみらい地区。
そして伊勢佐木町手前の馬車道。地下鉄関内駅7番出口を出るとすぐに見えるマンホール。
他の場所と同じデザインのはずなのに、なぜか上品さと誇らしさが醸し出されているように感じる。
周辺路面に装飾された他マンホールやモチーフが、馬車道らしさを演出しているから…だろうか。
地下鉄関内駅周辺の設置は14か所。
これでもエリアのほんの一部だというのに。関内エリア、まだまだ発見できるポテンシャルが高そうだ。
最後は横浜公園内、横浜スタジアム
横浜DeNAベイスターズ本拠地横浜スタジアムを訪問するというのは、ものすごく浮いてしまわないか…、不安めいたものがついてまわる。
ファンの皆さまからしたら、軽薄に思われないか?
横浜スタジアム内設置は17個。横浜スタジアム内は他設置場所とは異なりBAY STARSと中心に大きく描かれている。
普段近づかないエリアに飛び込むと、いろいろなものが目新しく好奇心がわいてくる。
いつのまにか不安も解消していることに気が付き、神経が太くてラッキーだと感じた。
この日訪れたのは午後1時過ぎであったことからまだオープンしていなかったが、ビアガーデンがあり、周りにはキッチンカーが数台停まり、忙しそうに営業準備を始めていた。
緑多い公園の中、木陰でビールを飲めたらいいなぁ。暑さの中で写真を撮りながら、ビアガーデンで生ビールを飲む自分の姿を想像する。
陽が高いのでビールはまだでも、アイスコーヒーでも飲みながらちょっと休憩しようか。
ライフスタイルショップ併設のボールパークコーヒーで、マンホールを眺めコーヒーブレイク…は後にして、マンホール探索を続けた。
計17個、探索を終え、ミッション終了。
しかし、マンホール探索というミッションを通じ、関内エリア探訪し横浜公園で憩う、という新たな時間の使い方を発見できたと思う。
ミッションの最後に…
前述のライフスタイルショップは、洗練されたデザインのアイテムが並んでいた。それ対しオフィシャルショップでは、選手の名前や番号の入ったグッズが所狭しと並べられ、熱気あふれるファンたちで店内のエアコンすらも熱に変えてしまうほどだった。
「場違いか…」とひとりごち帰ろうとしたところ、本日一途に探し求めていたマンホールがショップに並んでいるではないか!!
なんとマンホールは姿そのままに、わたしたちの日常に取り入れられるグッズとして販売されていた。それが何であるかは、これまた行ってからのお愉しみとしよう。
最後に、このマンホールのデザインは「野球ファンだけでなく、市民や来街者の皆様が親しみやすいもの」である、と謳っている。
ここにひとつの活用法をお伝えしよう。
そう、よくよくご覧になった方はもうお気づきかもしれないが、ベイスター、星の頂点は北を示している。
もしこの付近で道に迷ったら、このマンホールが示す北を目印にして欲しいと願う筆者であった。