「封切り」という言葉を生み出した映画の街「横浜・伊勢佐木町」

新作の映画が劇場で初めて公開されることを、「封切り」と言いますよね。実はこの言葉、伊勢佐木町にあった映画館「オデヲン座」が発祥ってご存知ですか?

全盛期には約40もの映画館がひしめいていた映画の街

邦画専門の「電気館」正面(1939年)
電気館

写真提供:イセザキ・モール1・2St

 
明治時代初期から数多くの芝居小屋や劇場が立ち並んだ日本有数の娯楽スポットだった伊勢佐木町。

明治時代末期から大正・昭和にかけて、それらの芝居小屋や劇場は映画館になり、日本を代表する映画の街へと変貌を遂げました。全盛期の1950年代には約40もの映画館があったのだとか。

映画ファンの支持を集めた「オデヲン座」

中央左側のビルがオデヲン座
電気館

写真提供:イセザキ・モール1・2St

 
「オデヲン座」はそうした伊勢佐木町を象徴する歴史に残る映画館です。1911年(明治44年)に賑町(現在の伊勢佐木町3丁目)で、貿易会社を営んでいたドイツ人リヒアルド・ウエルデルマンが開業しました。

1914年(大正3年)に第一次世界大戦が勃発してしまい、敵国であったドイツ人が経営することは難しくなり、ウエルデルマンは山下町の貿易商・平尾商会に経営を委ねることに。

明治・大正期は、洋画の輸入の担い手は港町であった横浜と神戸の貿易商が中心。平尾商会は、港町・横浜のメリットを活かし、欧米から輸入した洋画を日本全国の映画館に先駆けて公開していきました。

そうして、東京よりも早く新作洋画が鑑賞できる日本初の洋画専門の映画館として「オデヲン座」は映画ファンの絶大な支持を集めました。東京からも多くの洋画ファンが「オデヲン座」に足を運ぶほどの人気だったそうです。

「オデヲン座」が欧米から輸入した新作洋画のフィルムの封を切り、いち早く上映していたことから「封切り」という言葉は生まれました。

それが現在では、新作映画の公開を意味する用語として使用されるようになったと言われています。

「オデヲン座」は、関東大震災や第二次世界大戦などを経て、劇場名を変えるなどして営業していましたが、1973年(昭和48年)に閉館。建物は取り壊され、残念ながら現存していません。

伊勢佐木町に今も残る名画座

60年以上続く名画座「ジャック&ベティ」
電気館

写真提供:ジャック&ベティ

 
近年、複数のスクリーンがあるシネマコンプレックスが増え、昔から街を賑わした映画館は悲しいことに少なくなっています。そんな中、伊勢佐木町には今も残る名画座があります。

そのうちの1つが「ジャック&ベティ」。

1952年に創業した「横浜名画座」を引き継ぐ形で1991年にオープンした横浜・若葉町にあるミニシアターです。監督・俳優特集、映画祭などを行う横浜最後の名画座「ジャック」、単館系の新作ロードショー館「ベティ」の2つのスクリーンがあります。

できるだけ多くの作品を紹介したいという思いから、2スクリーンに対して上映作品は多め。作品をハシゴして、1日中映画三昧なんてこともできちゃいます。

他にも、半世紀以上続く「横浜シネマリン」(現在改装中)、「横浜ニューテアトル」などの老舗映画館があります。

イセザキ・モールでお買い物際にチェックしてみたら、思わぬ良作に出合えるかもしれません。どこか懐かしい雰囲気が漂う館内の雰囲気も楽しめますよ。

映画の街として時代を走り抜けた伊勢佐木町の歴史を感じながら、今も残る名画座でゆっくりと映画を鑑賞してみませんか?

ジャック&ベティ
横浜ニューテアトル

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この記事の著者

田村 里佳

田村 里佳

1984年生まれ。愛知県名古屋市出身。横浜市在住。大学卒業後、食品メーカーで広報やマーケティングに携わる。もともと書くことが好きだったこともあり、ライター講座に通ったことをきっかけに7年間の勤務を経てフリーライターに転身。

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