特別な日というのは、自分の誕生日ということだった。
早めに仕事を切り上げ、予約を取って食事に行った。そして、更に気分よく飲んでいたいから、この店に来たのであった。
ちょっとテンションを上げていきたかった。
20th Century Boy なんてできるかな?
その一言を聞くと、オーナーはステージに上がって行く。
しばらく会話に夢中になり、またステージの音楽に時折耳を向けていると、1曲目が終わろうとしてた。
そして、次の曲に差し掛かる時、さっきエントランスで見たあの人がステージにあがり、ギターを担ぎ始めた。
ジャ♪ジャ♪ジャ~ン♪♪ one,ツー,スリー,フォッ!
聞き覚えのあるイントロ。数年前に一世風靡したあの映画の影響もあり、このイントロのフレーズは多くの人が知っているだろう。
そう。さっき自分がリクエストした20th Century Boyの演奏が始まり、そのリードギター&ヴォーカルには、これまでスタッフとして働いていた戸巻店長が軽快にギターを弾き、かっこいいサウンドを刻んでくれた。
さすが店長だ。
いい感じでテンションが上がってきた。
1年に1度の特別な日なんだ。盛り上がっていきたいよな。
それにはこの曲は最高だった。
Happy Birthday to you!
盛り上がる曲が終わった後に、更なるサプライズに襲われる。特別な日が誕生日だと知ったお店から、粋な計らい。それは、バースデイソングとシャンパンのプレゼントだった。
乾杯!
やってくれるじゃないか。
誕生日の乾杯ドリンクだけなら、他の飲食店でもサービスとしてあるだろう。
ただここが一味違うのは、バンドの生演奏で、プロのミュージシャンがバースデイソングを歌ってくれる。
そして、その演奏の途中にシャンパンのコルクを音を立てて抜く。
ポン!!
やられた…。
テンションが上がるお気に入りの曲に、バースデイプレゼント。
食事の時に飲んだワインに加え、ここに来てからのバーボンと、そしてシャンパン。
すっかり上機嫌だ。