齊藤崇眞氏。(BAR NORGE)
中華街にて、地元横浜のみならず、観光客も多く訪れるBAR NORGEから、1958年ベルギー万国博覧会のカクテル・コンペティションで1位を獲得したカクテル、レッド・バイキングを紹介。
レッド・バイキングはデンマークのバーテンダー、ガストン・ヌアール氏によって考案されたもの。
レシピにはアクアヴィットを使用するが、ノルウェーの名を冠するBAR NORGEの齊藤氏は、ノルウェー産リニア・アクアヴィットを使用する。
無色透明のアクアヴィットが多い中、リニアは樽熟成由来で色調は茶色い。そもそもリニアには“赤道”の意味があり、大航海時代にアクアヴィットを樽で輸送したところ、偶然にも熟成したものが美味しかったという説があり、これにちなんで現在でも船の中、樽熟成が行われている。
出来上がるカクテルは意表をついて、赤くない。
考案者のガストン・ヌアール氏がイメージする海賊は赤く高揚していたのだろうか。グラスに浮かべられた大きな氷は、北欧の海賊が挑んだ航海での難所のひとつ、猛々しい氷山を想像させる。
北の果て、猛威で人々を震え上がらせたヴァイキングの航海に想いを馳せ、BAR NORGEに赴きたい。
田村誠氏(Bar Brilliant)
過去のカクテル・ショウとあわせ3回目続けてフル出場しているバーテンダー。
細面に、シュッとした立ち居振る舞いは、バーテンダーの美所作のお手本のよう。大御所と言われる所以だ。
田村氏の技が披露されるカクテルはノンノ。アイヌ語で“お花”を意味する、田村氏のオリジナルカクテルだ。
華麗な手つきも鮮やかに、ボトルを披露し、また説明も行う。田村氏のカクテルは、氏のこだわりの結晶だ。
ジン、ボンベイ・サファイヤをベースにヨーロッパで人気のエルダー・フラワーのリキュール、サン・ジェルマンを。金柑ノリキュール、キミヤ、さらにカシスのリキュール、ルジェにフレッシュなグレープフルーツジュースを用いた、レシピからも華やかさをイメージできるカクテル。
飾られたのは、横浜の花にちなんでエディブルフラワーのバラ。
愛らしいカクテルに試飲希望が多数。ラッキーにもこのカクテルを手にできたのは、カクテル同様に華やかな来場者だった。
妙技に鮮やかな色合い、デコレーションも華やかなカクテルは、Bar Brilliantで。
中村英吾氏(BAR SANCTUARY)
過去の職歴は高等学校教諭という、異色の肩書を持つ。
教諭時代、足しげく通った大好きなバー。そこでバーテンダーに憧れ、キャリアの転向を思い立ったが踏ん切りがつかなかった。
悩む自身の背中を押したのは、カリスマバーテンダーの高橋歩氏の本“サンクチュアリ-”だったという。今年2016年11月、満を持して独立、オーナー・バーテンダーとなる。
落ち着いた表情からつくりだされるカクテルはダリア。第4回プレミアムテキーラ・カクテルコンペティションで金賞受賞。
ダリヤとはメキシコの国花で、このカクテルにはテキーラを使用する。さらにダリヤの花を愛したフランス皇帝ナポレオンの妃ジョセフィーヌにちなんで、フランスのリキュール、シャンボールも使用し、エレガントさを表現している。
大胆に、大きく体を使ってシェイカーは振られ、そっとグラスに注がれたその姿は、なんと情緒あるカクテルだろう。知性すら感じさせてくれるひと品。
中村氏のオリジナルカクテルは、11月11日福富町に新規オープンするバー・サンクチュアリーで。