おしゃれなイメージが定着している港町ヨコハマ。
そんなイメージをもっと強くしてくれる横浜発信のブランドって…、まぁ幾つかはあると思うけど、ここまで徹底して横浜にこだわったブランドはない。
そのブランドに遭遇したのは、まさに偶然で、そして劇的なものだった。
取材を行った日から遡ること5日。
天気の良い週末の通常業務となっている、関内での取材先探しの散策。
遅めのランチを摂り、おなか一杯になったまったり感漂う空気を強引に打ち壊すため、どこかに話題が落ちていないかと、取材エリアを歩いていた時のことだった。
鉄格子がはまった窓の中に見えたおしゃれな鞄。
そしてそこに書かれている一際目立つナンバー…。
045
横浜の市外局番であるその番号をブランドにした鞄。それこそが、徹底的に横浜にこだわったブランド作りを行っている「横濱帆布鞄」だ。
取材先探しの週末の散策には、たったひとつ、iPadを鞄に入れ持ち歩いている。
iPadだけをおしゃれに持ち歩けるバックを、普段から探していたから引き寄せられたのかも知れない。
店内に並べられた「045」のナンバーが書かれたおしゃれなバックの中には、iPadを持ち歩くために作られたサイズと思われるバックがあった。
店内を物色していると、そこに現れたオーナー。
早速取材を申し込むと、あっさりとOKをもらう。
ただし週末はギャラリーしかやっていないため、平日に来るようにとのこと…。
なに!?なに!?なに!?
どうやらここは、このおしゃれなバックを販売するのがメインの場所ではなく、このおしゃれなバックが作られている場所らしい。
散策の時にiPadをかっこ良く持ち歩くバックは、せっかくだから取材で詳しいお話を伺ってから慎重に選ぶことにして、改めて出直すことにする。
そして迎えた取材の日
ギャラリーに飾られているバックに改めて目を配っていると、そのどれもがカッコ良く、また機能的に使えそうなものばかり。
用途に合わせ選んだり、また入れるグッツによって使いわけをしたり、ここのバックはどれも素晴らしい。
カメラのファインダーを覗きながら、既に取材どころではなくなり、iPadを入れる散策用のバックを探すだけが目的では無くなってしまった物欲を抑えきれなくなっている心を、我に返させるようなある音が聞こえてきた。
ガシャンごとんガタンごとん…
そうだ。
物欲を満たすことの前に、今日はまず先にしなくてはならない事がある。
普段の買い物では、十分に検討をしないままインスピレーションだけに任せ衝動買いをして、あまり使うこともなく後悔してしまうことが多いのだが、今回は違う。
わざわざ平日に出直してきたのは、今日これからこの場所で、このクールなバックたちが出来上がる行程を取材できるからだった。
覗き込んでいたファインダーの照準を、物欲をかき消し落ち着かせてくれた「音」の方へやると、手慣れた手つきで大きなミシンを動かしている職人さんがいた。
器用な手つきで繊細な作業をしている
大きなミシンを巧みに操り、動かしては止め、止まっては動き、何やら大きなものを縫っていた。