更に不思議な光景は白い円盤のようなものの中心に人がいたこと。
中に入ると次に視界に飛び込んでくるのは、ドームの円周より少しだけ小さい白い円盤のようなもの。そしてのその中心は、人が数人は入れるようなスペースがある。
円盤の中心へは一本の渡り廊下のような可動式の橋で渡ることができる。関内新聞より先に到着していた報道陣が作業服の男性を取り巻き取材をしていた。
少々出遅れた関内新聞は、まず施設の中をくまなく観察。そこで確認したのは、天井部の中心に何やら傘の骨組みのような物体がぶら下がっていること。
後で確認したところ、これは「マスト」と呼ばれるもので機械操作で天井中心の一部を開閉できるようになっていて、温度の調節や空気の循環を促すために使われるのだとか。
そして施設内にはエアコンが5台設置。
わざわざドーム型の施設で農場を作るのだから当然のことかも知れないが、施設内はこのエアコン5台によって常に一定の湿度が保たれるようになっている。
何でも聞いてくださいね。
関内新聞が施設内を孤独に撮影をしているところに、作業服の人が歩み寄ってきてくれた。本当にそう言ったかどうか別として、その方がにこやかにほほ笑んでくれたので、関内新聞は独占取材することができた。
後から考えると遅れてきた分際で、何とも図々しいものだったが、そんなことはお構いなし。創刊まもなく読者も圧倒的に少ない関内新聞は、これを機会に何とか他紙に追いつこうと必死だから…。
ここで2週間ほど苗を育てる。
何と作業服の方は、この農場の農場長。
他の報道陣が遠くにいる間に、聞けるだけの内容を聞こうと関内新聞は質問を連発。