ハート&ソウルは、毎日違うヴォーカルがゲストとして出演し、ファミリーバンドの演奏でステージを行う。そんなシステムだ。
そしてこの日のゲストヴォーカルは、藤川 なお美さん。
細い身体からは信じられない声量で、素敵な歌を聴かせてくれている。
アコースティックギターソロ
しばらくの間、バーボンと音楽を楽しんでいたところ、どうやら今回のステージも終わりになるようだった。
テーブルの上に置かれたお店のパンフレットで確認すると、平日は約40分のステージが6回もあるようだ。しかも金曜日と土曜日にあっては、朝の4時まで営業で、7回ステージがあるという。
なんだ、まだまだ楽しめるぞ!
今回のステージが終わりになると聞き、少し落胆しそうな気持だったが、そのことを知って安堵のため息がこぼれた。
アコースティックのギターは、お客のリクエストに応え、さっきからビートルズのナンバーをメドレーで演奏。弾き語りをしている。
ステージが終わり、店内の少し照明が明るくなったところで、2杯目のバーボンを口にしていると、先ほどまでギターを弾いていた男性が声をかけてくれる。
どうやらこの人は、このお店のオーナーのようだった。
オーナーの原 正行さん
せっかくこんなに雰囲気の良いお店だ。気さくにオーナーが話しかけてくれたんだから、少し話を聞かせてもらおう。
聞きたい曲とか合ったら遠慮なくリクエストしてね。リクエストはテーブルの上にあるカードに書いて、スタッフに渡してくれれば良いよ。
そんなことを言っても、無数にある洋楽の中から、演奏したことが無い曲が入ったらどうするんだろう…。余計な心配かも知れなかったが、そんなことが脳裏をよぎった。
できる限りリクエストには応じられるようにするからさっ。まぁ、その日のバンドのメンバーによってはできないこともあるけど、ステージの合間に音源聞いてみて考えるから。
そういって、原オーナーが向けた視線の先に目をやると、そこにステージを終えたバンドメンバーが、休憩をしながら譜面を確認し、次のステージの曲順を話し合っているようだった。
それにしても凄いな。
仮に知っている曲だったとしても、事前の音合わせは必要ないのだろうか?
弾き慣れた曲ならまだしも、ご無沙汰している曲だったらどうするんだ…。
まぁ、そのあたりがプロのミュージャンの凄さなんだろう。
そんなこと思っていると、
聴きたい曲ある?
と、原オーナーが更に問いかけてきた。
今日はちょっと特別なんだ…。