滝さん:
デザイナーがいなかったから、自分でサイズを測り、高さも図ってデザインした。家具もね、自分でイメージ通りの物が見つかるまで探し回ったんだよ。
滝さん:
床材は、無垢のナラ材。これも自分で見つけて来た。
滝さん:
壁は珪藻土(けいそうど)を使っている。珪藻土は、湿気が多い時には吸ってくれ、逆に乾燥している時には蓄えた湿気を出してくれるんだよ。
改装の時には、自分の理想的な店の雰囲気を作るため、やりたいようにやった。その結果、予算も大きくオーバーしてしまったけどね。
だからか。この店は完璧にコンセプトが定まっている。客が座るソファーも椅子の座面も深みのある赤。床はぬくもりのある深い茶色に、どことなく古さを感じさせるようなところに渋さを感じる。
味があるんだ。
滝さん:
それまでのパラダイスカフェには、勢いがあった。自分のために店をやって、ここでやりたい音楽をやって来た。
だけど改築してすぐの頃に、リーマンショックがあり、そして東日本大震災。ちょっと苦しい状況なってしまったね。
滝さん:
やがて13年のお店の歴史の中で、少しの方向性が徐々に変わって来て、それに気が付くのが僕は少し遅かったような気が今ではしている。
あぁ、時の流れをもっと敏感に感じるべきだった…とね。
それまでは、平日は毎晩僕が唄っていたんだけども、もう58歳でしょ。毎晩唄うのは、もちろんしんどくなってきたんだ。
滝さん:
それまでも時々は、他のミュージシャンを呼んで、このパラダイスカフェで唄ってもらうこともあったけど、今年からは、この箱を活かしてくれる次世代のアーティストに開放していくことが、お店の使命だと考えるようになった。
例えば、今もこの店で一緒に唄っている米重 優哉をもっと前面に出したり、他の色んなアーティストにこの店を全面開放していく。これからのパラダイスカフェは、ライブハウスとしてアーティストの登竜門となるような場所にしていきたい。その為に、今は積極的に出演者を急募しているよ。
滝さん:
6月には、上田 正樹 さんも唄いに来てくれるしね。上田さんは、時々パラダイスカフェで唄ってくれているよ。
それに一昨年、桑名 正博 さんもココでライブをやってくれた。恰好良かったよね。
なんと。あの桑名さんも、パラダイスカフェで唄ったことがあったのか。桑名さんの歌声、ここで聞いてみたかったな…。
滝さん:
桑名さんとは、深いつながりがあった訳じゃないけど、ここで唄って欲しいとお願いしてね。それで来てくれたんだ。実際には僕が堀内さんとテレビをやっていた頃、ゲストで来てくれたので会ったことはあったんだけど、桑名さんは、そんなこともあったかなって感じだった。
桑名さんのライブは盛り上がってたよね。その時のアンコールで、桑名さんが『生きてるうちが花なんだぜ』を唄ってくれたんだ。
生きてるうちが花なんだぜって、あれから凄くそう思うようになったよ。だから、ここで若いアーティストを発掘して、スターになって欲しい。そんなライブハウスに、これからのパラダイスカフェをしていきたいと思っている。