2016年10月25日(火)

ワインボトルが燈る頃、ポンテ(橋)を渡り異空間へと誘われる。

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アバター画像 ウスイ 潤

続く温かい前菜には、トリッパのトマト煮込み。

塩みに頼らない、トマトのジューシーさをまとったトリッパ(ハチノス)は洗練され、まるでオーダーメイドで新調した服を着こなす壮丁のよう。よくよく味わうと、爽やかなハーブがアクセントになっていることに気づく。

なんだろう…?

馴染みある風味なのに出てこない名前。素直にシェフにたずねると、答えはミント。ミラノ風だという。なるほど、ミントといえばデザートに飾られた生クリームの上にちょこんと乗っているイメージしかなかった。イタリア料理の発想の豊かさを感じさせられる。

あわせるワインはカンテ、テラーノ2009。

熟れた赤い果実、チェリーのような甘みとキレイな酸を持つワインは、トマトソースが持つ酸味と同調し、トリッパが持つ重厚なイメージになりがちなマリアージュを軽快にしている。

続くパスタは、スカンピとアボカドのクリームソース リングィーネ。

ぽってりとしたクリームソースとは異なり、さらりとなめらかなソース。火が通ってねっとりさとコクを増したアボカドとの相性はよく、ここにスカンピ(アカザエビ)から出る旨みと塩けが加わる。リングィーネに絡め口に運べば、三位一体完成の味わいだ。

選ばれたワインは白。マルカート、ピーニョ ソアヴェ・クラシッコ2013。フレッシュな酸とコクも持ちあわせる辛口ワイン。ふくよかな味わいをきりっと締めるものとなる。

メインディッシュは仔羊の炭火焼き。厳選された素材、仔羊はオーストラリア産のもの。

炭火のおかげでじんわりと焼き上げられた肉は、表面にじゅうぶん焼き色をつけている。その身にナイフを入れると滑るようにひと口大に。中心はピンク色が保たれているのがわかる。

口に運びさらに実感する、なんと柔らかいことか。噛むごとにジューシーに肉汁が喉に流れるとともに、炭火の香ばしさ、肉の甘み、野性味を伴う旨みが体に浸透されていくようだ。

あわせたワインはサエッタ 2012 キャンティ・クラシッコ・リゼルヴァ、モンテ・ベルナルディ。なんと年間3400本しか生産されない貴重ワイン。

サエッタという名前の由来は「キューピッドが人間の心を射抜く矢」であり、このひと皿とあわせることにより、まさにズキュンとハートを射抜かれることだろう。

前述のとおりオーダーは、ひと皿をふたりでシェアするのでアラカルトでこの4皿をいただけばコースのように食事を楽しむことができる。合わせるワインはもちろん経験豊富なソムリエに任せるもよし、自身の好みのワインをあわせるのもよし、楽しみ方は自由自在だ。

オープン時間は18時から、なんと27時まで!!深夜でもメニューは変わらず食事ができるという点も有難い。(ラストオーダーは26時)

テーブル席はもちろんカウンター席でも、ゆったりと置かれた椅子で隣の人とぶつかることはなく、また店内の照明もテーブルの上や足元などは明るく照らされているが、室内で客同士の視線が気にならないほどに施されている。

ひとりでも、ふたりでも。メニューもワインも相談し、たまにはこんな雰囲気の中、一期一会のディナーを楽しみたいものだ。

ショップデータ

Ponte
  • 横浜市中区太田町1-11-3
    グリーンビルB1F
  • TEL:045-306-7226
  • 営業時間:18:00~3:00(L.O. 2:00)
  • 定休日:日曜・祝日

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この記事の著者

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ウスイ 潤教授

海なし県、群馬に生まれ、「いつか、行ってみたいなヨソの国」を、20代の時期を費やし敢行。北極星に導かれ、辿りついた地は横浜。輝く数多ある星のごとく横浜の魅力を国内外に発信させるべく、関内を彷徨いスタアを拾い集めている。

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