続く温かい前菜には、トリッパのトマト煮込み。
塩みに頼らない、トマトのジューシーさをまとったトリッパ(ハチノス)は洗練され、まるでオーダーメイドで新調した服を着こなす壮丁のよう。よくよく味わうと、爽やかなハーブがアクセントになっていることに気づく。
なんだろう…?
馴染みある風味なのに出てこない名前。素直にシェフにたずねると、答えはミント。ミラノ風だという。なるほど、ミントといえばデザートに飾られた生クリームの上にちょこんと乗っているイメージしかなかった。イタリア料理の発想の豊かさを感じさせられる。
あわせるワインはカンテ、テラーノ2009。
熟れた赤い果実、チェリーのような甘みとキレイな酸を持つワインは、トマトソースが持つ酸味と同調し、トリッパが持つ重厚なイメージになりがちなマリアージュを軽快にしている。
続くパスタは、スカンピとアボカドのクリームソース リングィーネ。
ぽってりとしたクリームソースとは異なり、さらりとなめらかなソース。火が通ってねっとりさとコクを増したアボカドとの相性はよく、ここにスカンピ(アカザエビ)から出る旨みと塩けが加わる。リングィーネに絡め口に運べば、三位一体完成の味わいだ。
選ばれたワインは白。マルカート、ピーニョ ソアヴェ・クラシッコ2013。フレッシュな酸とコクも持ちあわせる辛口ワイン。ふくよかな味わいをきりっと締めるものとなる。
メインディッシュは仔羊の炭火焼き。厳選された素材、仔羊はオーストラリア産のもの。
炭火のおかげでじんわりと焼き上げられた肉は、表面にじゅうぶん焼き色をつけている。その身にナイフを入れると滑るようにひと口大に。中心はピンク色が保たれているのがわかる。
口に運びさらに実感する、なんと柔らかいことか。噛むごとにジューシーに肉汁が喉に流れるとともに、炭火の香ばしさ、肉の甘み、野性味を伴う旨みが体に浸透されていくようだ。
あわせたワインはサエッタ 2012 キャンティ・クラシッコ・リゼルヴァ、モンテ・ベルナルディ。なんと年間3400本しか生産されない貴重ワイン。
サエッタという名前の由来は「キューピッドが人間の心を射抜く矢」であり、このひと皿とあわせることにより、まさにズキュンとハートを射抜かれることだろう。
前述のとおりオーダーは、ひと皿をふたりでシェアするのでアラカルトでこの4皿をいただけばコースのように食事を楽しむことができる。合わせるワインはもちろん経験豊富なソムリエに任せるもよし、自身の好みのワインをあわせるのもよし、楽しみ方は自由自在だ。
オープン時間は18時から、なんと27時まで!!深夜でもメニューは変わらず食事ができるという点も有難い。(ラストオーダーは26時)
テーブル席はもちろんカウンター席でも、ゆったりと置かれた椅子で隣の人とぶつかることはなく、また店内の照明もテーブルの上や足元などは明るく照らされているが、室内で客同士の視線が気にならないほどに施されている。
ひとりでも、ふたりでも。メニューもワインも相談し、たまにはこんな雰囲気の中、一期一会のディナーを楽しみたいものだ。
ショップデータ
- Ponte
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- 横浜市中区太田町1-11-3
グリーンビルB1F - TEL:045-306-7226
- 営業時間:18:00~3:00(L.O. 2:00)
- 定休日:日曜・祝日
- 横浜市中区太田町1-11-3