【歴史探訪】-関内の小さな遺跡を訪ねる3 -二代目市庁舎遺構-

関内地域にある小さな遺構たち

横浜市の関内地域には、開港記念館、歴史博物館、県庁本館横浜税関新聞博物館、東京芸大が使用している建物など古い時代の建物が残っています。

これらには、横浜大空襲を乗り越えたもの、さらには関東大震災を乗り越えたものもあります。しかしその一方で、それらの戦災や震災で倒壊してしまったものも数多く存在します。

現代でも関内を散歩すると、それら建物の遺構を見つけることが出来ます。

ここ何回か、これらの遺構の代表的なものを紹介してきました。

今回は、横浜市庁舎のすぐそばにある、この遺構について紹介します。

これは何の遺構だろうか

さて、この大きな円弧はなんでしょう。古井戸の跡でしょうか。建物の礎石でしょうか?

井戸であればまあまあのサイズですが、礎石となると、けっこう太い柱が使われていたことになります。

すぐ右横にこんな遺構もありました。

これは昔のレンガですね。先ほどの丸いものも含めて、建物の遺構かもしれません。

更にはこんな遺構もありました。

こちらもレンガがあります。やはり今までの2つのものも含めて、これらは建物の基礎のようですね。

これら遺構はこの辺りにありました。

 
これらの遺構は、横浜市庁舎と横浜公園の間の通りの市庁舎側の歩道を、海の方向に向かって歩くと左手に、ひょっこり現れます。よく注意してないと、すたすた歩いていると見逃してしまいます。

これは一体何なのでしょうか?

近くに案内板がありました。内容を要約しますと

  • この施設の名前は「二代目横浜市庁舎基礎遺構」といいます。すなわち、昔の市庁舎の基礎部分が出てきたんですね。現代の市庁舎は七代目です。
  • 2013年の市庁舎緑化工事のときに出てきたものだそうです。
  • 初代の庁舎は本町通り沿いにあったのですが、手狭になったのでこの場所に新庁舎を建築したそうです。
  • 1911年に竣工しました。
  • 外観はレンガ造りのルネサンス様式で、全体を白い自然石の帯で巻いている華麗な建物でした。

文字だけではうまく想像がつきませんので、当時の絵葉書の画像を載せてみます。

横浜市役所及港橋 City Office, Yokohama(横浜市中央図書館所蔵)

この画像の中心にある、まるで開港記念館の親戚のように見える建物が、二代目横浜市庁舎です。本当に西洋の洋館のようですね。

ところで、この画像は運河越しに描いた絵のように見えます。実はこの絵葉書の画面右の外側には、横浜公園が広がっています。すなわち、今の首都高や新横浜通りのところが運河(派大岡川)だったということです。

今一度、この二代目市庁舎に関するデータを調べてみました。

  • 敷地面積:1,071坪(大体3,530㎡)
  • 建坪面積:530.8坪(大体1,750㎡)
  • 地上3階地下1階
  • 池田稔氏設計
  • 当時の通貨で404,600円(現在の価値で12億円?)

数値から大きさが想像できないのですが、90m×40mの敷地寸法だと、大体データの数字に近いかなと思います。

画像から想像するに、かなり立派で瀟洒な二代目市庁舎でした。

しかし残念ながらこの市庁舎は、1923年9月1日の関東大震災で大きく被災してしまいました。震災の揺れそのものには何とか耐え抜いたのですが、市庁舎正面にある塔の窓から飛び火が入ってしまい、建物内部は全焼してしまったそうです。

同じような被害を、開港記念館や歴史博物館(旧正金銀行)も受けたそうです。

ただし二代目市庁舎は、この建物内部の火災が建物の強度などにも大きな影響を与え、建物は部分的に大きく傾いてしまいました。

さらにその上、運河側の地盤が陥没してしまい、この建物を修復して使い続けるのがとても困難な状況になってしまったそうです。

よって震災直後にこの市庁舎は、工兵隊によって爆破解体されることになってしまいます。

2013年に見つかったのは、爆破解体したがれきを撤去した後に残されたものだったんですね。円弧の柱の跡から、とても大きな建物だったのではと、当時の華やかさを想像してしまいました。

おわりに

ここ何回か続けてきたシリーズでわかってきたのですが、横浜の街もローマと同様、地面を掘ると古代遺跡の出土はありませんが、開港時から明治大正に至る時期の建築物の遺構が発掘されるようです。

どこかでビル工事が行われているようでしたら、工事現場から何か見つかるかもしれませんね。


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この記事の著者

佐野 文彦

佐野 文彦博士

滋賀県で生まれ、学生時代を福井で過ごす。社会人になってからは、横浜を生活拠点としている。本業の傍ら、ジャズやゴスペル・ファンクなどでサックス演奏や、コーラスグループでの合唱活動も行っている。横浜が自分の歌や演奏で満ち溢れるといいなどと、大風呂敷な夢を持ち歩いている。彷徨うような街歩きが大好き。

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