今年も開催 第4回カクテル・ショウ
10月後半の週末は二週に渡り、関東地方に激しい台風が直撃。それによる暴風や大雨の影響を受けて、横浜マラソンをはじめとするいくつものイベントが中止へと追い込まれてしまいました。
カクテル・ショウの開催日にも台風が来たら大変だと冷や汗ものでしたが、さすが、晴れの特異日である文化の日のおこぼれを頂き、当日はほのぼのとした秋晴れに恵まれました。
このカクテル・ショウは、11月3日と5日に開催されていた関内フード&ハイカラフェスタの一環として、関内まちづくり振興会の協力の下で開催するもので小紙が主催しています。
16:00からスタッフによる準備作業が始まっていましたが、会場の外では開場を今か今かと待ちわびる関内のカクテルファンの皆さんが列をなして待ってます。
会場内では出場する店舗がブースを構え、開場時間に間に合わすべく、ある意味整然とした喧騒状態になっていました。
17:00 開場
準備万端に整った会場に、待ちわびたテンションで入場されるお客様。静かながらもバーテンダーのかもし出す緊張感で、会場は凛とした空気に包まれています。
待ちわびたお客様よりバーテンダーへ放たれる注文の数々。まったりとした時間と空気はありません。
シェイカーの中で氷がぶつかる音が会場内に鳴り響き渡るのを合図に、凛とした空気から一気に賑わいだ空気に包まれました。
17:30 開演
小紙編集長・森本の司会進行で「カクテル・ショウ」が開演。まずは、出場のバーテンダー7名がステージ上に勢ぞろいします。
司会による出場者紹介があった後、プログラムに従ってバーテンダーによるショウがはじまりました。
岸本 さとし 氏
トップバッターはDINING BAR岸本酒房。
登壇した岸本氏は、今回登壇するバーテンダーのなかで最年長です。
小紙編集長も懇意にさせていただいていて、編集長が店を訪れてはオーダーするミルク・ジンフィズをパフォーマンス カクテルとして披露してくれました。
「壇上パフォーマンスの最初として、歴史あるカクテルを出して欲しい」と、編集長が無理を言ったと後で聞かされました。
岸本氏が壇上で話された内容に、小紙ライター佐々木翠が調べたことを加えてミルク・ジンフィズについて紹介します。
ミルク・ジンフィズ。別名を東京會舘フィズともいう。
東京會舘とは106年前の大正時代に創業した酒場で、太平洋戦争終戦直後はGHQの統制下に置かれ、進駐軍将校の酒場として利用されていた。
将校たちの中には朝から酒を飲んでいる者もいたが、大っぴらに酒を飲むのはさすがに憚られるとして、”牛乳を混ぜてお酒っぽく見せなくしよう”として生まれたのが、ミルク・ジンフィズ。
かのマッカーサー元帥も愛飲していたという逸話もあるカクテルだ。当時から今に至るまで、数々のバーテンダーの手によって作られ続けている。
岸本氏自身は、この日のイベントの為に、パレスホテルのバーテンダーに改めてレシピや逸話などを確認して披露してくれたと言う。
このミルク・ジンフィズというカクテルは、レモンの酸と牛乳の脂肪がダマになりやすため、分離しないようハードシェークをする。このハードシェークは、やはり一番の見せ場。岸本氏の熱い姿は圧巻のパフォーマンス、つい喉が反応する。
ただし残念なことに、ハードシェークしても時間が経てば分離してしまうとのこと。シェークしたてを頂くと、滑らかで爽やかな味わいで、時間を置く間もなく1杯を飲み干してしまいました。
ライター 佐々木 翠 談
関谷 茂人 氏
続いてはBar Merry Widow。
関谷氏からは、スタンダードカクテルとして有名なサイドカーを作りながら、カクテルの基本的なことなどを丁寧にお話してくれました。
さらには、サイドカーをノーマルなタイプと、卵白を先に入れて泡立てたものを混ぜたタイプと2つを実演。後者を作る時には、卵白を泡立てるのにストレーナーのバネを使うという、素晴らしいアイデアを披露してくれました。
臼田 徹 氏
3番手は酒場 陽炎。臼田氏からは、ブラッディ・シーザーというカクテルが披露されました。
ブラッディ・シーザーはブラッディ・メアリーのトマトジュースを、クラマトという蛤のエキスが混ざったトマトジュースであるクラマトジュースに置き換えたもの。
蛤の味わいが、口の中に広がる感じなのでしょうか。甘い香りや味わいのカクテルにちょっと飽きたときには、これにタバスコを垂らして、激辛カクテルにして味わうのもいいかと思いました。
また、このカクテルを高い位置から何気に注いでいる技は、見ていて鮮やか。さすがは、バーテンダーです。技術で魅せるということも忘れていません。
伊藤 巧 氏
4番手はBAR GOLDRUSH。笑い声が、とてもよく響くバーテンダーの伊藤氏。きっと明るく楽しめるバーなんだろうと思わせてくれます。
披露されたカクテルはCandy Rush。綿菓子をうまく利用したカクテルで、インスタ映えがしそうなデコレーションです。
カクテルが出来上がる際には、多くのファンがカメラを構えていました。
ところで、伊藤氏のブースでは、飲み物のカクテルの他に3種のカクテルマカロンという、いわゆる”食べるカクテル”が販売されていました。
ウイスキーボンボンのマカロン版だということですが、席を賑やかにするのにはいいカクテルだと思いました。
平澤 健太郎 氏
5番手はBar Prima。
Bar Primaは、若手バーテンダーによって営業しているバーで、会場でも若いお客さんの声援が沢山ありました。
披露されたカクテルは月光白。”月光白”(げっこうはく)という中国茶の茶葉をジンに漬け込んでお茶の香りを溶かし出し、その溶かし出したジンをベースにしたカクテルでお茶の色をしていました。
飲んでみると口の中に紅茶の香りが漂い、とてもまろやかな風味を堪能することが出来ました。
中村 英吾 氏
続いて6番手はBAR SANCTUARY。
バーテンダーになる前に高校教諭だったという異色の経歴をもつ中村氏は、カクテルについての話をする前に、自身のバーに対する思いを熱くかつ判り易く語ってくれました。
ここで再び、小紙ライター佐々木翠のコメントを引用します。
中村氏からカクテルのことではなく、バーは”敷居が高いイメージ”だと意表をついた言葉が出てきた。
バーでの注文の仕方ひとつとっても、何を選んで注文していいのかわからない。しかし、ひとたび店に入ったら、心地良い空間が広がる。
そこは”非日常の空間“。
一杯のカクテルを作り上げていくには、バーテンダーとの静かなやりとりが欠かせない。「好きな食べ物は何か」「好きな果物は何か」「アルコールは強めが良いか、弱めが良いか」など、好みを聞きながら渾身の一杯が作られていく。
バーテンダーとの話が出来れば、あとはお任せしてバーテンダーのパフォーマンスを楽しめば良い。
その中村氏の今回の出品カクテルはダリア。カクテルコンペでグランプリを獲ったこともある、中村氏のオリジナルカクテル。
リキュールそれぞれの味のハーモニーが美しい上に、ダリアの色あいは、カクテルグラスを持つ女性を美しく見せるだろう。
ライター 佐々木 翠 談
ちなみに中村氏のブースでは、小紙編集長が学生時代に考案したカクテルが出品されていました。
そのカクテルは、編集長が語った若かりし頃の思い出話から、中村氏が掘り下げるようにレシピを聞き出し、20年の歳月を経て再現されたハンサムボーイ。
このことから、バーテンダーとの語らいによって「お客様をイメージした、お客様の好みに合わせた、お客様の特別カクテル」も出来ることがわかります。
ブースではカクテルがワンコインで販売
ステージでパフォーマンスが披露されているときでも、各バーテンダーのブースではカクテルが1杯500円で販売されています。
複数のバーテンダーのカクテル、また色々なバーのお酒を一度に楽しめるのも、このカクテル・ショウの醍醐味の一つです。
坂本 聡喜 氏
ショウの最後を飾る、7番手はBar Herencia。このイベント開催後の11月22日に、尾上町に新規オープンするお店です。
この坂本氏は、この日2番目に登壇されたBar Merry Widowで腕を振るっていたバーテンダーで、晴れて独立して自身のお店を開業するとの事。
それに先立ってのショウ出演でした。
披露されたのは、お店と同じ名を持つカクテル、エレンシア。
フランス・アンジュ産の洋梨ラ・フランスから作った蒸留酒「ラ・ポワール」をベースにしたカクテルです。
出来上がったカクテルは少し赤みがかってました。
フードブース
これで今回出演のバーすべての披露が終わったのですが、今回忘れてはいけないブースがあります。
今回は、ご来場のお客様が気持ちよくカクテルを楽しんでいただけるよう、軽いおつまみや食事を提供するフードブースを設けました。
フードブースを担当した店舗は、アメデオ・アマデオ。横浜西口の”奥横浜”と称される浅間町からの出店です。
このブースのパニーニを食べた小紙ライター茶谷のコメントを引用します。
アメデオ・アマデオのパニーニを食べてみた。
サクッとした軽い歯応えと、フランスパンのようなあっさりとした食感でトマトのジューシーな感じとよく絡む。自家製のローストビーフも主張しすぎずに、チーズも程よくとけて、とても美味しく食べやすかった。
ライター 茶谷 青葉 談
私も一度、このお店行ってみようかなという気持ちになりました。
おわりに(編集長より)
第4回「カクテル・ショウ」も無事に終えることができ、小紙としても本当に良かったと思っています。
日本で最初にバーが開業された横浜関内を讃え、さらに横浜関内を盛り上げていきたいとカクテル・ショウの開催を続けてきました。
今回で終わらせることなく、また来年も再来年も開催できるように努力していきたいと思っています。
このイベントは、関内を中心とする横浜のバーやバーテンダー、そしてそこに関係する方々の発展のために開催しているイベントです。
この街の魅力の一つでもあるバー文化をこれからも発展させ、また絶やさずに継承していくことも関内のWebメディアとしての使命だと考えています。
またバーテンダーの皆さんには、次回の開催にもお力添えを頂ければと願っております。
横濱 Bar Hopper 倶楽部 を開設
横浜のバーを愛し、バーでカクテルを飲むことが好きなBar愛好家が情報交換できる場として、facebookグループの「横濱 Bar Hopper 倶楽部」を開設しました。
バーの達人の皆さんとも、これからバーを楽しんでみたいという「扉の前」に立った皆さんとも、楽しくお酒の話をさせていただきたいと思っています。