関内の海辺
海辺に行くと、気持ちがホッと和らぐ。そういう方も多いのではないでしょうか。JR関内駅から1.2㎞ほどの所に、横浜の海岸線があります。
又、海が見渡せない街中でも、風向きによっては潮の香りを感じることがあり、関内地区にとって、横浜の海はとても身近な存在です。
眺望の素晴らしさが、都市の海辺の魅力の一つ。北仲通や海岸通からの、みなとみらい地区の眺めは良く、特に夜景は鮮やかで、思わず息を呑むような美しさがあります。
建設中の高層ビル
本町6丁目の大岡川河口に接する所に横浜市新市庁舎が、そして、道路を挟んで北仲通6丁目には、ザ・タワー横浜北仲が建設中です。
横浜市新市庁舎建設に際しては、関内地区からのみなとみらい地区の眺望が妨げられるということで建設反対の運動もありましたが、建設は決定されました。
この横浜市新市庁舎は、地下2階地上32階塔屋2階建てで、現在は3階部分の鉄筋や床などの工事が行われていて、2020年春に竣工予定。
そして、地上27階建ての横浜アイランドタワーと隣接して建つので、完成すると国道133号を挟んだ関内地区側から、みなとみらい地区を見渡すことが難しくなります。
一方、ザ・タワー横浜北仲は、地下1階地上58階建てのタワーマンションで、分譲住宅としては横浜最高層とのこと。又、住宅の他にも、カフェやレストランなどの商業施設、宿泊施設のオークウッドホテルも入ります。
現在は30階近くまで建ち上がっていて、2020年4月下旬には入居が開始される予定のようです。
海側にマリンデッキが造られるので、ここから眺望は良さそうです。
尚、この近くの宿泊施設と言うと、万国橋横の海岸通5丁目に、アパホテル&リゾート横浜ベイタワーが建設中で、グランドオープンは2019年秋の予定。
地下2階地上35階建てで客室総数が2,311室、ホテル1棟の建物としては、日本最大級の客室数であるようです。
調べてみると、このように、どのビルもかなり大規模なものでした。
タワークレーンが、上空に向かって着々と建物を積み上げていく様に、かなり気合の入った意気込みを感じます。
歴史遺構との共存
ザ・タワー横浜北仲建設中の囲いに、「北仲エリアの歴史」という記載があり、そこには、以前の北仲通には1868年に灯台局が作られたなどの史実が記されています。
再開発に関わる方々の、歴史ある地域へのちょっとした配慮が伺えます。
灯台局があった場所は、ザ・タワー横浜北仲の大岡川寄り、北仲通北第一公園がある場所です。
それは、船の航海の安全の為に西洋諸国から灯台の建設を求められ、燈台局を置いたというもので、公園には灯台発祥の地としての記念碑が設置されています。
そして、その当時に建物の基礎として使われていたレンガが、遺構として残されています。
又、この場所は、灯台局が造られる以前には、洲乾弁天(現在の羽衣町の厳島神社)があり、野毛や神奈川方面からの眺めの優れた景勝地として広く知られていました。
尚、この近辺には、江戸時代末期から明治時代初期の頃の石積みの護岸が現在も所々に残っています。
横浜新市庁舎建設地にも、江戸時代の石積み護岸・燈台寮の基礎・旧本町小学校の基礎・横浜銀行集会場の基礎などの歴史遺構が出土していて、これらの一部を展示していく予定のようです。
そして、ザ・タワー横浜北仲が建つ場所の直ぐ傍には、アートスペースの北仲ブリックとして使われていた旧帝蚕倉庫事務所の建物残されています。
現在は、工事関係の事務所として使われていますが、整備して残されるようです。
これから姿を消してしまう建物
海岸通3丁目には、2006年から今年2018年3月まで、BankART1929として使われていた、1953年建設の日本郵船横浜海岸通倉庫があります。
BankART1929は、歴史的建造物などを文化芸術に活用する事業を行っていて、日本郵船横浜海岸通倉庫で活動していた当時は、高い天井とコンクリート造りの構造を有効に利用して、
アートの制作スタジオ・展示室・カフェ・図書室などがあり、横浜トリエンナーレなども開催されました。
現在、BankART1929は、相生町3丁目の泰生ビルに移転していて、日本郵船横浜海岸通倉庫は、建物の老朽化と土地の有効活用のために解体が決まり、この5月から着手されています。
芸術・文化の拠点だったこの建築物が姿を消してしまうのは、実に寂しいものです。