60分1本勝負!!135キロの氷柱を彫る
20mほどの間隔をあけて重さ135kgの氷柱が点々と置かれたイセザキ・モール。
選手たちは指定された氷の脇で道具を広げ、準備を整えます。そして、容赦なく照りつける太陽の下、午後1時に競技スタート。テーマは自由、競技時間は60分です。
選手たちは、まずノコギリを手にして、デッサンを描くように氷柱に切り込みを入れ始めました。
この日の横浜は最高気温34.6℃を記録。冷たい氷の塊を相手にしていても、懸命にノコギリを挽く選手たちの全身からたちまち大汗が吹き出します。
ノミに持ち替えて彫りすすむ中盤戦
10分ほどかけてノコギリで大まかな形を切り出すと、選手たちは手にする道具をノミに変えます。小さなノミや柄の長いノミ、いろいろな道具があるようですね。
日頃鍛えた技を駆使して、どんどん氷を削っていく選手たち。長方形の氷柱が、しだいに彫刻らしい形になっていくのがわかります。
競技が熱く盛りあがってくるこの時間、気温もますます上がって氷柱を溶かしていきます。
この暑さ、炎天下での氷彫刻コンクールは、想像を超えた過酷な競技かもしれません。選手たちは暑さと時間と戦いながら、作品を彫り上げていきます。
先着1000名、かき氷の無料配布も
氷彫刻コンクールの競技観戦に集まったみなさんには、冷たいかき氷のふるまいも。かき氷を配布するテントの前には、イチゴ味の列とメロン味の列、それぞれの長い行列ができていました。
最後の追い込み
「30分経過」「40分経過」とモール内の放送で残り時間が告げられます。いよいよ競技も終盤。作品は「白鳥」でしょうか、唯一の女性選手も真剣な面持ちでノミを振るっています。
各選手の作品は、しだいに形が明らかになっていきます。残り20分、選手たちは溶けやすい細部の彫刻に取りかかります。
ごつごつと削られていた氷柱が、優美な彫刻に変わる瞬間。ベテラン選手たちの技と時間の読みが光っています。
おっと、アクシデント発生!! 暑さで氷が溶けたためでしょうか、氷柱が倒れてしまいました。選手はなんとかリカバリーするものの、一部分が壊れてしまったようですね。
そして60分経過、午後2時に競技終了です。
近藤選手が最高得点で神奈川県知事賞に
厳正な審査の結果、最高得点を取得したのは近藤卓選手。ランドセルを背負って学校から帰ってきた少年と出迎える子犬をみごとに描いた作品で、神奈川県知事賞に輝きました。
タイトルは「おかえり、わん!」です。
ホテルオークラ東京にお勤めの近藤さん。調理師になって13年ほど、西洋料理を担当。作品で苦心したポイントは「少年と子犬の表情」だそうです。「溶けてしまうので、最後まで調節していました」
たしかに競技が終了して審査されている間もどんどん溶けて、作品から水がしたたり落ちていました。溶ける時間も考慮して作品を仕上げる工夫が必要なんですね。
氷彫刻技術コンクールは、商店街のイベントとは思えないほど白熱したすばらしい大会でした。選手のみなさん、おつかれさま!