今にも飛び立たんとしている鶴と、今にも駆け出さんとしている虎。そして、それらに守られるように凛とした姿勢で艶っぽい海の幸たちが、安心して眠りについているかのような船上で起こるマリアージュ。
ふぅ~。
見つけられてしまった…。
お料理の味と見た目。
美しいいでたちに、優しいもてなし。
そして、それらが一度に吹き込み、全包囲網で今宵の酒席を楽しませてくれている。何から何までが、最高にキメつくされていて、まるでこちらの十八番を奪い去られてしまった夜。
いつものようにキメることが出来ない…。
なんてことだ…。
刺し盛りで見た目も楽しませてくれ、完膚なきまでに打ちのめされた感があった。
それなのにも、これ。
存在感がにじみ出る大きさの豚ロースが、朴葉にのせられお味噌の衣装をまとう。そして、それを更に美しく演出する卓上でじっくりと温かさを持たせる火鉢の演出。
旨い刺身のタイミングで、仲間にはバレないようにこっそりと熱燗に変えていた、こちらの酒の運びをも絶妙に捉えて攻めてくる。
朴葉と味噌の香りが、鼻から抜ける熱燗の嬉しくマッチする。
そしてしっかりとした歯ごたえを楽しませてくれた後は、まだまだ熱燗に合わせてくれよとフワフワ食感の蕪蒸し。
透き通る上品な見た目の餡に、昆布の塩味が酒飲みのハートを捉え過ぎて堪らない。
そして、更なるおもてなし…。
殺風景な男同士の会食に、色彩を施すしなやかな指が酌す美味い酒。
参りました
あらもう参っちゃった?まだ許されない本当の理由とは?