先ほどこの店を見つける合図をした、関内ホールの正面玄関を見下ろせ、寂しい気持ちも疲れた身体をも慰めてくれる、一番の良い席。
関内ホールの正面玄関の灯りが、今度は遠い世界の出来事のように見えるこの場所。
窓を少し開ければ、良い季節になった薄暗い闇が迫る街に優しく吹く風を感じる。
さらに、この席は…
馬車道を行き交う人の後姿を見つめられる場所。
通りを激しく行く車の音すら、この席ではもう気にならなくなる。
そうだよね、マスター?
マスター:
…、
…、…、
…、…、…、
パクパク隊:
ちょっと、いつまで一人の世界に入ってるのよ。
カウンターの方が、お洒落に飲めるに決まってるジャン。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)’・*:.。. .。.:*・゜゚・*
なんだ、アイツも来ていたのか…。
言われる通り、すっかり馬車道のランプの灯りにウットリし、そしてこの雰囲気の良い最高の空気に、すっかりと舞い上がってしまって…、
気が付かなかった…。
確かに…。
カウンターで、マスターがお酒を作ってくれる姿を見ながらグラスを傾け、おしゃべりをつまみに飲むのも楽しいが、さっきから言ってるように優しく飲み直したい気分なんだ。
パクパク隊:
…、……、………、
モグモグ隊:
…、……、………、
そうか。どうしてもカウンターが良いってことだな。
それなら、
違う飲み直し方を試してやろう。
さっきは無口なマスターだったけど、実はウィットに富んだ会話をしてくれる。
その調子が上がるまで、この二人と飲んでいるか。