この街にはなぜ音楽が溢れているんだ?
急にそんなことが気になり始めた。
街を歩いていても、あちらこちらから音楽が聞こえてくる。
耳に音楽がこびりついてしまっているのだろうか?
そんなことを考えてしまうほどだ。
今宵は久しぶりにあてもなくこの街を歩いてみよう。
そう考えて、いつものアイツに声をかける。
たまにはアテもなく関内を歩いてみないか?
そう言って普段は歩かなかった道を選んで歩いてみる。
見ごろを迎えた関内桜通りの八重桜を見ながら、常盤町のコンビニがある角をベイスターズ通りに向かって曲がる。
何かに憑りつかれでもしているのだろうか?
アテもなく、そして目的もなく歩いて来たのに、ほらもう見つけてしまった。
WE PLAY ROCK
どうやら耳に音がこびりついているというよりか、
どうやら関内に来たこの身体が音楽を引き寄せてしまうらしい。
Bar HUG
なぁ、また見つけちまったよ。
この店も好み通りの店じゃないか?
一度、店の前をやり過ごして、振り返る。
ウッディーな木枠にはめられたガラス扉から、少し店内が見える。
仄かに光る照明が、更に雰囲気を良くしていそうだ。
今夜はココにしよう。
こちらもまたカッコが良い木で出来た扉。
その扉を開けた向こうの世界に、もう胸の高鳴りを抑えることができなくなっている。
思った通りだった。
扉を開け、目の前に広がった店内の様子に、一気に高揚する。
入口からは店内が少し掘り下げられている。
そのため扉を開けた瞬間に、やや黄色くそして温かみを感じさせる丁度いい光に照らされた店内が、歩いて来た外の空気を一蹴してくれる。
グッとくる