会うのは何年振りだろう?
仕事の都合で関西に引っ越した友人が、出張で出てくると言うので、久しぶりに飲むことになっていた。
確か、飲むと食欲が更に増す奴だ。
出張先の都内から、わざわざ関内に移動してくるんだ。腹いっぱいにさせてやろうと、この日も慎重に店を選ぶ。
馬車道から太田町を曲がり少し行ったビジネスホテルの向かいに、1年ほど前に新しいお店ができていた。関内の夜を散歩している時、偶然に目にしたのだが、いつか必ず行ってみたいと思っていた店。
引っ越し先が関西だったということと、飲むと食欲が旺盛になる大喰らいの彼のことを考えていると、そのお店に行きたくなった。
馬車道しんちゃん
偶然見かけた時から気になっていたこと。
それは、このお店の外に書いてあるこの言葉。
絶対に行きたくなる店が、ここにはある!
大いなる自信に満ちたこのフレーズに、覚悟を決めて挑戦してみたかった。気になっていたお店にようやく来ることができたことは、この日の来客に心から感謝しなくてはならない。
ほぅ。
掘りごたつに鉄板。それに侍ブルーの旗が壁一面に飾られている。大きなモニターでは横浜DeNAベイスターズの試合が映し出され、鉄板をつつきながら、大きな声で声援を上げて強く盛り上がれるような気分になる。
仕事が終わったら直ぐに向かうと彼は行ってたが、まだ来てはいないようだ。お店の場所は伝えてあるし、今の時代迷っても携帯で地図を見ればわかるだろうし、先に始めていたって怒るような彼ではないから、先に…!?
ん!?
何かが変だと思っていたが、なぜこのテーブルには3人分のお箸とお皿が用意されているんだ?予約は2名でお願いしたつもりだったが、彼は誰かを連れてくるのか?
パクパク隊:
生ビール一つと、う~んと…、あ、モヒート一つください!
Σ\( ̄ー ̄;)
パクパク隊:
まぁいつものように浸っているから、あえて声かけなかったのですが、ずっと居ましたからね。流石にもう20回近くもそうやって自分の世界に入っちゃうところを見ていたら、いい加減ツッコミも入れる気が起こりませんわ。
し、しまった。
絶対に行きたくなる店が、ここにはあると言われ、ずいぶん前から気になって、いつかは挑戦してやろうと意気込んで迎えたこの日に熱くなり過ぎて、意識がブラジルまで飛んで行ってしまっていた。