2014年12月12日(金)

【収穫】ゆったりとした時が流れ、遊び心をくすぐってくれる時遊

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アバター画像 森本 康司

時間をかけて優しいひと時を過ごしたいなら、馬車道にひっそりと佇む柔らかい時を遊ばせてくれる時遊さん。ソムリエならぬノムリエの仲の良いご夫婦が、至福な時間の流れを軽やかに遊ばせてくれる。そしてたくさんある時計たちの理由にも注目したいお店だ。

すっかり久方ぶりになってしまったな…。

夜の関内で一人、ゆっくりした時間を持ち食事を摂るなど、どのぐらい振りだろうか。

 
街はすっかり年の瀬の慌ただしさを感じさせてくれるように、あちらこちらで大所帯の食事客が良い調子になって歩いている。

そんな街の繁忙を横目に、今宵はゆったりとした気持ちを大切に育んでやりたいというモンだ。

 
今年もあと1ヶ月で終わるが、12月という月には当然の如く忘年会だのパーティーだのが、のように予定表に流れ込んでくる。

その流れ落ちる多忙な夜のカレンダーに、ぽっかりと空いた切れ間の夜に相応しい店を選んでやる。

ちょっと歩いただけで、すっかり身体が冷めきってしまうような気温。温かい料理と美味い酒というのが定番だろうが、刺すような寒さに神経がピリピリしてしまう夜には、優しい料理とワインをゆっくり味わいたい。

 

Watch & Wine 時遊

時遊の看板

馬車道からネオンが賑やかに楽しく感じる相生町を曲がり、もうここが終点かと諦めずに歩いた角を曲がると、今宵の気持ちを優しく包んでくれるお店がある。

随分前に洒落たBarのマスターが、ここはいいゾと教えてくれたのだった。

アイツに隠れてワインを楽しむ時の場所として、何度か使わせてもらったことはあったが、ゆっくりと食事に来るのは初めてになるか。

※アイツとは、関内新聞のグルメカテゴリのネタに登場するボランティアのスタッフのパクパク隊のこと。前回は、お箸でも食べられる柔らかスペアリブの回に登場している。

時遊の入口

いつもは遅い時間に、ひょっこり現れることが多いのに、こんな早い時間に顔を出すと、びっくりするんじゃないだろうか。

時遊の扉

そんなことがフっと脳裏をかすめると、優しい雰囲気の店を作る、優しいマスターの驚いた顔が見たくなり、遊び心でいっぱいの少年のように、一気に階段を登って扉に手を掛ける。

時遊の荒谷さんご夫妻

 
こんばんわっ!
 

このお店に来ると、いつも決まって、テンションが上がってしまう。その理由は、何と言ってもこの自らノムリエと宣言するオーナーの荒谷さんご夫妻の優しい笑顔。一瞬にして時間を優しく丸めてくれそうな、確実に柔らかい笑顔で時間を彩ってくれる。

ただ美味いだけじゃなく、時間と空気それと雰囲気の全てで幸せにさせてくれる、そんなお店だと偽りもなく感じられるから、今宵のステージに選びたくなったんだ。

どんなに仕事で疲れていても、どんなに忙しさに神経をすり減らしてしまっていても、自然とテンションを上げられる。一人で過ごす今宵の物語には、なくてはならないファクターだろうな。

時遊の砂時計

たっぷりと時間はある。

それに今宵は絶妙なタイミングで入るツッコミに、得意の妄想を遮られることもない。時間の流れにドップリと身を預け、遊び心を総動員させた言葉遊びをもツマミにしてやれる夜だ。

時遊のお通しとビール

さぁて、ゆっくり始めるとしよう。

とりあえずビール。

それは仕方が無いだろう。バブルの頃に夜の街を覚えたわけじゃないが、バブルの頃を知っている上司に育てられたんだ。宴会に行って、とりあえずと言えば?と聞かれれば、それは間違いもなくビールですと答えなくてはならなかった世代だ。

そんな苦い記憶が蘇っても、これがビールの真骨頂だろうと言わんばかりに最高な分量でキメの細かい泡が乗せられ、グラスに注がれた黄金色のビールは、それを一口飲めばサンタクロースのような白いお髭を蓄え、ぷっはぁ~とやってしまうことに決まっている。


お店詳細

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