っほ、ほぉぉ~。
カウンター正面に並ぶお酒に、整頓され美しさを放つグラスたちが良いオブジェとなる全体感も、たまらなく良いな。
やはりカウンターで肩を寄り添わせ、しみじみと日本酒をやるのが良いかも知れん。
ぅおっと…。
パクパク隊:
今日はカウンターで良いわよね。
というか、きっと貴方のことだから、カウンターで日本酒をチビリやりたいって言うと思って、予めカウンターの席をお願いしておいたわよ。
そうだな。コイツのアレンジで、この店に呼ばれたんだ。突然の登場と、驚くそぶりをしてみたが、先に来ていると言っていたのだから、居て当たり前か。それにしても、呼び出された時から気になっていたんだが、どういう風の吹き回しで、自ら店を選び先に来て待つと言っていたのだろうか。
パクパク隊:
このお店ってこぢんまりしているけど、明るくて白い壁が清潔感あって綺麗でしょ?
このカウンターを見たら、必ずカウンター席に座るって言うと思ったから、こちらに座ったけど、小上がりの畳の席でも優しい雰囲気でお食事ができると思わない?
それとね。お酒を楽しむお店としては珍しく、1階は全面禁煙なの。あなたは文句言うかも知れないけど、女性が来やすいお店って、そういうところも重要なポイントよね。
なるほど、そういうことだったのか。
明るくて清潔。それに煙草の煙を気にしなくても良い配慮。コイツがこの店に連れ出した訳は、そういった女性ならではの視点からだということか。
確かに男して、ただ美味い、ただお洒落という店のラインナップだけより、女性が安心して来れる店もリストに入れておく必要があるな。美味いモンを食べさせるだけでは、女性からは100点の評価が得られんかも知れない。
パクパク隊:
お料理はお任せでお願いしておいたわよ。秋は美味しい食べ物がたくさんあるから、この季節を美味しく食べさせてもらえるように考えてくれると思うわ。
ふ~ん。
何から何まで気を利かせる日だな。好みを判った店選びに、クセを見抜いた席選び。
そして季節を食べさせるメニューは、お店にお任せする。
そう…。
それが、正しい身のこなしだ。
この可愛い照明の一つをとっても、この店には繊細でゆったりした時間が流れているのが感じとれる。
割烹と聞くと気難しそうな職人の無愛想さ加減に緊張し、無造作に料理を運ぶ割烹着姿の女将さんに気を遣いながらの食事を絵に描いてしまうが、それが正しくない妄想だと、明るく可愛い店の雰囲気から容易に想像できる。
きっとこの店には、期待していいはずだ。