それにカウンターの背後の壁の高い位置には、大きな鏡が飾ってあるのか。
どうやらカウンターの角が、この店の一番の特等席のようだ。
温かい仄かな光の中でバーボンをちびりやりながら、
木のぬくもりに包まれることができる最高の一席。
よし、この場所に座ろう
それにしても、この壁に掛けられている絵と、どこと無しか中米っぽい飾りもいい雰囲気を出している。
そうか!サンタフェか?
アメリカ合衆国ニューメキシコ州の州都「サンタフェ」をイメージしていたのか。
かつて遊牧系のインディアンが活動し、今日になっても街のイメージをアドビ風に建物の外観を統一したサンタフェの街。
そのイメージで店を作ってあるんだな。
ぎょ!?
パクパク隊:
そんなに良い席なら、もちろん私が座るんでしょ?
…。…、…。
あぁ~もちろんだとも…。
しまった。
コイツを連れて来ていたんだった。
サンタフェをイメージした店の雰囲気に気を取られて、連れて来ていたのを忘れていた。
お気に入りの一席を見つけたが、どうやらこの最高の席はコイツに譲るしかなさそうだ。
いや待て。
カウンターの逆サイドも良いかも知れない。
ガラス扉の外から入り込む、普通過ぎる街の白い光と、渋い店内の木の色を更に温かみのある趣に変える柔らかい光のコントラストが最高じゃないか。
この店の雰囲気だ。
バーボンの中でも、こんな時はテネシーを選ぶか。