本格高級志向か…。
テーブルに綺麗に整頓されて並んでいる食器にナフキン。ここにも白とこげ茶の絶妙なバランスがあり、ゆっくりと落ち着いた感じを感じさせてくれる。
期待できる。
店の雰囲気やデザイン、そしてA型気質の心の奥の柔らかいところまでをも刺激してくれる、細かいところにまで行き届くセンス。
鳥肌が立ち身震いするほどにビビッとくるこういう感覚は、これから出てくる数々の料理へ間違いのない期待感を与えてくれる。
たくさん頼もう。
火が入りスパイスの効いたカレーなら、次から次に手が口に運んで、きっと足りなくなるぐらいだ。それに、さっき店の入口で、何となく目にしたチラシにデリバリーもしているとの文字があった。
食べきらなければテイクアウトにすれば良い。
様々なスパイスの違い、様々な素材の違いを楽しみたい。スパイスの魅力に憑りつかれ、一種の中毒のようになってしまっている胃袋が、久しぶりに魔法にかかり禁断症状解禁の堰を切って手当たり次第に注文する。
パクパク隊:
少し頼み過ぎたんじゃない?
そんなに頼んだら、食べきれないかも知れないわよ。
アイツが言ったそんな言葉は耳には入らなかった。店の雰囲気とスパイスの魔力に、既に気分はインドへと旅立っているようだった。
ふふっ…。
今この瞬間、雰囲気に酔い流離う姿を、誰かが見とれてしまっているだろう。罪なことをしてしまったか…。
no one stares at you…
なに?
誰も見ていないだと?そんなことを言うのは誰だ…。
なんだ、映画か…。
人が良い気分になり物思いに耽っているのに、水を差すのはアイツだろうと思いきや、仄かに香って来たスパイスの薫りと合わせて、物思いに耽ることを進めてくれていた、インド映画のダンスシーンからツッコミを喰らうとは…。驚きに冷や汗が出たじゃないか。
パクパク隊:
ちょっと、何カッコつけてるのよ。お料理が来たわよ。
お腹空いちゃったんだから、早くいただこうよ。
プレーン・ナン(Plain Naan)
パクパク隊:
見てよ、このナン!すっごく大きいジャン!
ホンノリ香ばしくて優しい甘味のある香りがするし、2人でシェアしても十分な大きさね。どうやって作るんだろうね?