2017年6月8日

念願の聖域を手に入れたバーテンダーがいる福富町のBAR SANCTUARY

森本 康司 森本 康司

思えば長くなった付き合い。そんな彼が独立してオープンした福富町のBar。本格的なカクテルが飲める上、カラオケまで歌えてしまう女性も安心して通えるお店。数々のBar勤務を経て、彼がようやく持った自分自身の聖域に取材に入りました。小紙登場回数最多を誇るバーテンダーのお店。いつもと違った趣でお届けします。

昨年11月に、小紙主催で開催した第3回 カクテル・ショウ

その2週間ほど前に、一本の電話がかかってきた。電話の主は、ショーへの出場が決まっていたあるバーテンダーからだった。やや興奮した感じもあった、声色。会話の呼吸を一気に上げるような話し方で、その電話の主は言った。


自分のBARを出そうと思います。

初めて彼に会ったのは、彼がチーフバーテンダーとして勤務していた中華街にあるBar NORGE。この街に来て間もなく、まだBarで飲むことにも慣れていない頃だった。

歳の近い彼とは、会話もよく合った。Barでの所作はもちろん、カクテルの飲み方やウイスキーなどについても色々と教えてもらった。

気が付けば、彼と出会って3年。中華街の後に、伊勢佐木町のBarでの勤務を経て、彼はようやく自分自身のBarを開店することになる。

BAR SANCTUARY の店内

お店の正式な名前は、BAR SANCTUARY ~Singing&Drinking~。独立して自分のお店を持つなら、この言葉を使おうと決めていたという。

SANCTUARYまだ教員だった頃に、手に取った一冊の本。

かつて描いていたバーテンダーになるという夢を追いかけてみたいと思う、きっかけをくれたというその本のタイトルを冠した。

Barにしては珍しく、白い壁に多いとも感じられるほどの照明。

そして床やカウンターは、落ち着きのある濃いグレーでコントラストがついている。

暗すぎず、明るすぎず。

照明の具合と、壁と家具の色使いが、清潔感の中に安心感を感じる雰囲気を作り出している。


女性が一人で来ても、安心していただけるように…

そう彼が意図したとおり、女性が一人で来ても安心してカクテルを飲めるような雰囲気があった。

カウンター席

SANCTUARYここがBarであるとも言えるカウンターは、大理石調の黒い石づくり。そこに置かれたランプが反射して、写し出される様も演出の一つ。

独立開店をお祝いするため、これまでの彼とのご縁に何か恩返しできないかと、趣味で作っていたお酒の空瓶を使ったボトルランプをプレゼントした。

そのランプに使ったボトルは、彼の代表作ともいえ、カクテルコンペでグランプリを獲ったカクテル“ダリア”のベースとして使っているプレミアム・テキーラ。

小紙の一周年記念パーティにも提供してくれた、筆者にとっても思い出深いカクテルだった。

その3本のボトルランプが照らす、カウンター席。

長い時間でも座っていられそうな、柔らかくクッション性が高いカウンターの座席。その先に見つめるは、彼がこだわって選んだお酒のボトルたち。

「良い店になったな」と心の中で祝杯を上げるように、久しぶりにココに座ったのだった。

ボックス席

SANCTUARY彼の店のこだわりは、店の奥に設けられたボックス席にも込められている。

グループできても楽しめるように、広々としたソファーが並べられたテーブル席。

彼が従前に勤めた伊勢佐木町のBarで‘コレだ’と感じた、カラオケができるショットバーというコンセプトを再現していた。

カップルで来た時なんかは、あえてこちらのボックス席を選ぶ…というのも、この店でしかできない贅沢なのかもしれない。

チェリー・ブロッサム

SANCTUARY

そういえば、ちょっと久しぶりですね…

そう言ってカクテルを作り始めた彼こそ、この店のオーナーバーテンダーの 中村 英吾 氏。前回のカクテル・ショウの2週間前に電話をしてきた彼であり、3年近く前から仲良くしているバーテンダーだ。

SANCTUARYSANCTUARY

いつものではなく、今夜はコレから飲んでください

彼の言う通り、ついつい「いつもの」というオーダーが多くなってしまったこの頃。ただ酒に酔いたい夜が長かったせいか、「いつもの」というオーダーが増えていた。

SANCTUARYSANCTUARY

付き合いが長いということだけではなく、こうして色々なカクテルを教えてくれる。そんな彼の店で、いろいろと初めてのお酒を教わっってきた。

甘めのカクテルも、たまには良いのでは?

SANCTUARY

ブランデーベースのカクテル、チェリー・ブロッサム

その名前は知っていたが、口にするのは恐らくこれが初めて。何百何千とあるスタンダード・カクテルの中でも、その代表格とも言え多くのBar愛好家たちの心を満たしたカクテルだが、味わうのはお初だった。

こうやって、幾つのカクテルを教えてもらったか…

その夜その夜の気分、その夜その夜の雰囲気。そんな幾つもの気分を、彼は見逃さずにいてくれる。

その気遣いは万人に向けられ、この聖域という名を持つ店で物語を摘むんで行くのだと思うと、久しぶりに訪れたこの店の夜が長くなりそうな気持ちになってくる。

New Constellation

そう言えば、今年もコンペに出ることにしました

彼がいうコンペとは、ヨコハマカクテルコンペティションのことだった。横浜の街でバーテンダーをやっているから、強い想いがあってこのコンペだけはグランプリを獲りたい。それが彼の思いだったと、改めて気が付かされる。

「そうか…」

今年も出るんだなと、そのカクテルをひとくち飲ませてもらうことにした。


SANCTUARYそのカクテルの名前は、“ニュー コンステレーション”。

新たな星座という意味を持つ彼の新作を、コンペよりも先にどうしても飲んでみたくなった。

“新しくカクテルを創作するという事は、新たな可能性への挑戦であり、未知なる世界への想像。諦めずに挑戦し続ける者に、夢は必ず応えてくれる。夜空に広がる星達をつなぎ合わせるように、新たな星座を描く。”

そんな思いのこもった彼の新作のカクテルは、今年のヨコハマカクテルコンペティションでどのような評価を受けるのか。

ここに来ると長くなる

今日は、コレはいいんですか?

SANCTUARY

そうやって彼が出してきたのは、久しぶりに紙面に登場したいつものバーボン

※いつものバーボンとは、呑み歩く癖が始まったきっかけとなった初めて飲んだバーボンのこと。20年以上も前に飲んだOld Grand Dad 114 Proofが、バーボン好きになる始まりだった。

SANCTUARY思えば彼には、好きなバーボンまで把握されているんだった。

幾度となく紙面に登場したことがある、彼。関内を飲み歩くようになった最初の頃から、気が付けば彼との付き合いも長くなった。

それはまるで、この“いつものバーボン”の様に忘れることができない相手であり、これからも憩いの時間をこの店で作ってもらう。

どんな気分の夜も、どんな想いを秘めた夜も、この店に来れば安らぎに変わる。それが、この店の名が持つ本当の意味。

聖域だからなのかも知れない。

カラオケ

SANCTUARY

おおっと、そうだった。

この店に来たんだから、ちゃんと歌って帰らなくてはいけないね。美味いカクテルに、いつものお酒。それに、これがあるから聖域だったんだ。

予感した通り、この店に来るといつも夜が長くなる…

ショップデータ

BAR SANCTUARY ~Singing&Drinking~
  • 横浜市中区福富町西通35-3
    日宝ジュビレいせざき3F
  • TEL:045-325-9533
  • 営業時間:火~土:19:00~3:00/日・祝:19:00~1:00
  • 定休日:月曜
  • Web:www.bar-sanctuary.com


この記事の著者

森本 康司

森本 康司編集長

関西に生まれ、学生時代をアメリカで過ごす。帰国から5年した頃に流れ着いたこの街が好きになり、2013年12月に関内新聞を立ち上げる。美味しいものに目が無く、あらゆる種類のお酒を飲むがバーボンが特に好き。近頃は、見様見真似でシェーカーを振ったり、料理をしたりすることが多くなった。お酒の空瓶で作るBottle Ware Artにハマっている。

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