南海子さん:
そろそろ日本酒をお召し上がりになりますか?
ほうほう。ナイスタイミングで、日本酒へのチェンジだ。
今年は夏が短かったせいか、この時期のサンマはしっかりと脂がのっている。そのサンマの刺身の味と合わせるには、やはり主役の座をサンマと争える日本酒の他にないのかも知れん。
様々な形、色、大きさをした数々の御猪口を自分好みで選ばせてくれる計らい。
その御猪口で味合うのは、宝剣。
すっきりとした清涼感が、フルーティーな香りを上品にまとめ、辛口でいて柔らかい味わい。そして、その清涼感がサンマの心地良い脂を、またマイルドな甘さへと推し進めてくれる。
もう大満足だ!
パクパク隊:
ね。ねっ。
まだまだ気を遠くに飛ばして、満足を味わっている場合じゃないわよ。
確かにそうだな。お料理もまだメインが出てきていない。
それに、今、そこにあるキミが手を付けようとしている物はなんだ?
パクパク隊:
う~ん。お餅??
あ、いやお餅よりは、もう少し柔らかいかなぁ…。
お餅かそうでないかもわからない食感なのか?
それであれば、お餅で良いのではないのか??
ん??
餅のようであって、お餅だとは確信できない食感。その食感を、脳のデータベースが餅ではない何かとしか弾き出せない情報量の乏しさ…。
南海子さん:
それは粟麩ですね。
んん??
あ・わ・ふ??
壮平さん:
お客様に驚いてもらえるように、いつもサプライズの一品をお出しするように心がけています。
それは粟麩を揚げて照焼き風のタレをかけていますが、それだけでないのがお分かりですか?
パクパク隊:
ここにもチーズね!
しかもブルーチーズですね!!
サプライズの一品だと?
さっきの茶わん蒸しでの驚かしでは、まだ足りないという、この貪欲さ。そこで仕掛けてくるのが、データベースに存在しなかった食べたことが無い粟麩の上に、そこにブルーチーズを組み合わせてくる、嬉しすぎるイタズラ。
少し甘く味付られたお餅にも似た食感に、ブルーチーズの風味が、意外にも意外。
しっかり日本酒にも合う!ではないか。
か、勘弁してくれぇ~。
驚きに興奮させられっぱなしでギブアップ寸前…。そこに更なる衝撃が襲ってくる!?