ぐるりと店内を回り座る席を物色するも、いつものように職人の仕事っぷりが見られるカウンターに目がひかれる。
しかしそこには、刺すようなあの鋭い目。
こんな目の職人の前に座っても大丈夫だろうか?
癒されるどころか、生きて帰れるのか…。
鋭すぎる目をした職人を見つめ、手のひらがしっとりと湿ってくる感覚を覚え始めているところ…、
魚をさばく刃物のように鋭い目にしか感じない職人が顔を上げる。
和田さん:
伊豆の海の幸をテーマに店づくりしてます。^ ^
ギョ、魚ょ~
な、なんだ。
魚をさばく手元が止まると、最高に柔らかい笑顔を見せてくれるじゃないか。
店に入った時から、黙々と魚をさばいていたのか…。
すっかり典型的な堅物で無口な「職人気質」な人だろうと、話しかけられる雰囲気を感じていなかったが、笑う顔を見ると気さくに話しかけても、色々と魚のことを教えてくれそうな柔らかい人だ。
パクパク隊:
早く飲もうよ。
お店に入ってから、席選びに時間をかけて色々と連れまわすから、すっかり喉乾いちゃったじゃない。
そうだった。
今宵は真っ直ぐ家に帰るのではなく、その前に疲れを癒し、次の仕事への鋭気を養うために立ち寄る店を探して、この店に来たんだった。
それにしても、この店。全体のテイストが、何かに統一されているような感じもするが、何なんだろうか?
照明の大き目の豆電球みたいな作りは、遠い昔いったどこか…、いや、何かの本の写真で見たような気がする。