なんとこの北雪酒造は、20年近く前に誰もが知るハリウッドスターのロバート・デ・ニーロ氏と、日本料理の技術と西洋の要素を取り入れた料理で世界中で認められている松久 信幸氏が共同経営する『NOBU』でダブルネームとして日本酒を提供している唯一の酒蔵だという。
昨今、日本酒は「Japanese SAKE」としてアメリカ人を始め、欧米人にも親しまれているが、間違いなく食通であろうハリウッドスターのロバート・デ・ニーロ氏にも認めらえる日本酒として、日本の酒文化を世界中に発信してくれている日本の誇りのような酒造こそ、この北雪なのかも知れない。
誰かが飲んだ生唾。その驚きは、その会場にいた誰しもが味わった感情だったであろう。
そして、いよいよ日本酒の会が始まる。
その合図となるのは当然「乾杯」。その酒に選ばれたのが、おそらく本日の日本酒の会に北雪酒造が満を持して持ち込んだ一本。
YK35雫酒 北雪
日本酒らしからぬ綺麗な青い瓶に詰められた山田錦100%の日本酒。芳醇な香りにすっきりと飲みやすく、普段日本酒に馴染みがない女性が飲んでも必ず「美味しい」と感じるだろうこの一本。
こんな酒を一本目に持ってくるなんて、
美香さんもなかなかやるな。
なんて関内新聞が感じている中、日本酒の会は一気にボルテージを上げ始めた。
この日、日本酒の会に参加した日本酒好きは、約20名。会場となった関内北口からすぐの居酒屋 文次郎には、席を埋め尽くさんばかりの日本酒好きの男女が一気に飲み始める。
ただここは単なる飲み会の席ではない。
そのうえ、ここに集まっているのは単なる日本酒好きの飲兵衛の集団ではなかった。
日本酒のウンチクを話す美香さん
北雪酒造の美香さんが難しい日本酒に関するウンチクを語り始めた頃、朝から何も口にしていない関内新聞は不謹慎にも、日本酒のアテが出てくるのを今か今かと待っていた。
しかしその期待とは裏腹に、美香さんのウンチクは続き、そして次々に北雪酒造自慢のお酒が運ばれてくる。
今日の日のために美香さんが準備したのは9種類ものお酒。それが出される順番と、料理が出てくるタイミングは綿密に打ち合わせされているのであろう。
その気持ちを確信に変えてくれたのが、乾杯に出されたYK35雫酒に続き運ばれてきた、純米大吟醸と2種類のにごり。純米大吟醸は乾杯の酒、YK35雫酒とは表情が変わり、風味豊かなお酒。香りを鼻で感じるというよりかは、のどで味わいを感じさせてくれる。そんな感じのする一本。
それに続けて出てきたのが、2種類のにごり。
純米大吟醸五百万石 遠心分離
吟醸 にごり
北雪酒造が多額の資金を投じて導入したというマシンで仕上げられた遠心分離。それに吟醸のにごりが出てくる。乾杯の酒からここまで4種類の日本酒が出てくるが、何とも言えず絶妙な順番。それにここまでつまみを一切出さない会の趣向にも意気込みを感じた。