贅沢で至福に時間を使うことによって、ただでさえジューシーでしっかりとした食感を持つベーコンを、より一層のジューシー感に最高の歯ごたえを、まるで活字にしたかのごとく鮮明にビジュアル化することが可能になる。
まだ食えるな。
おぉぅ…。
凍えていた身体が一気に温まりそうなヤツが出てきた。赤のワインにドンピシャにあってくれることが容易にわかるその容姿に、絶対に自らは確認しないが、顔は赤らいでいるだろう。
一人サイズでお鍋を作ってくれるのも、悔しいぐらいに最高に心遣い。適量を適切にアレンジしてくれるのも、嬉しい飲食店の気遣いだ。
ここにも、時間が隠れていたんだ…。
ゆっくり身体を温めきってやるぐらい、トマトが丸ごと一個も入ったこの鍋を楽しんでいこう。
それにしても、このトマトの鍋。見た目だけじゃなく、しっかりとした味付けがたまらなく良いじゃないか。一口で身体が温まり、次の一口で胸が暖まる。時間をかけてゆっくりと食事を摂るとだけ、決めて歩いて来た甲斐があった。
外は冬の凍える寒さなのに、鍋で温まったからか、額にはうっすらと汗がにじみ出ているようだ。
それにワインも進む。
今宵の胃袋はどうしたんだ…。
パクパクと色んなものを平らげて行ってくれる。もっと時間をかけて、まだまだゆっくりと食事をしていたい気持ちでいっぱいなのに、あっさりと鍋を食べ終えてしまえるのか。
それに、まだまだ食えるというのか?
イエィ
見つけていたのは、本当に時間だったのか?胃袋のキャパじゃないのか?