角の生えた雄牛のような奇抜なヘアスタイル。
肉の塊をさばいている真剣な眼差し。
背筋にゾクゾクくるこの感覚は、以前にも感じたことがある当たりを導く正しい直感だが、リラックスを感じさせる店の雰囲気には似つかわない張り詰める感じ…。
美味い物を食べさせてくれる職人は、共通して恐怖にも似た鋭い感覚を放つのだろう。
勝島シェフ:
お肉食べます?^^
な、なんだ。
肉をさばく手を止め、綺麗で旨そうな肉を見ながら笑っちゃったその顔が、最高にキュートじゃないか…。
美味い物を食べさせてくれる典型的な「職人気質」な人だと思い、カウンターに座ることを躊躇しかかっていたが、これなら安心して色々と教えてもらえそうだ。
パクパク隊:
ねぇねぇ…、あなたのそれって関内から出ても変わらないのね?
カウンターに座るかテーブル席に座るかって、いつもお迷いになられますが、シェフのお料理している手元が見えるカウンターに座りたいなら、素直にそうやっていえば良いのにね。
まぁいつもの事だってわかってるけど、ほらね。もう一品目のお料理が出てきちゃったわよ。
って、おい。
いつの間にオーダーしてくれちゃってるんだ。確かに座る席選びに時間をかけすぎてしまったかも知れないが、そこには色々な妄想があり、色々な葛藤を経て、色々な答えが導き出されるんだ。
た、確かに、多くのケースでカウンターに座りシェフの手元を盗み見したいと考えることがあるが、テーブル席でお皿をいっぱい並べてワイワイとやりたいと思ってみたっていいじゃないか。
モルツェッロ(カラブリア風牛もつ煮込み)
パクパク隊:
テーブル席に座るのは、次の機会にお友達たくさんとワイワイやればいいじゃない。
そんな事より、この牛のもつ煮込み?後からピリッとくる辛さがあって美味しいわよ。
お肉も柔らかいし、ソースも濃厚な感じが良いわ。
自家製カザティエッロ(ナポリの具沢山なパン)
パクパク隊:
いつも初めてくるお店では、カウンターに座って、隙を見てシェフに話しかけ、お料理の話を聞こうとするでしょ。それが当たり前になっているって、関内で食事をする時から決まっているじゃない。
あら?このパン、柔らかくてモチモチした食感が凄く良い。タマゴとハムが入っているからボリュームもあるし。
ったく…。
友達同士でワイワイと賑やかにイタリア料理を楽しむってシーンにバッチリなお店だと、少しぐらい空想を広げたっていいじゃないか。
それに、前菜として出てきたその目にも楽しいパンと、肉のうま味が溶け出して最高のコクを照り光させている煮込みが、見たこともないぐらいのボリュームを奏でている。その見た目にも嬉しいボリュームが、友達とのワイワイ楽しい食事を見事に演出してくれそうだと、次のシチュエーションを脳裏で容易に描くことができるだろうよ。