友達を関内に連れて行くから…。
そんなことを珍しくアイツが言ったのは1週間ほど前のこと。
連休の谷間の金曜の昼下がり。どうせ仕事も忙しくないだろうからと、友達を連れて関内に繰り出したいと言って来た。
目立つところで待ち合わせにして。
関内には散々連れてきているのに、未だ素人のようなことを言うアイツ。
何処が良いかと思慮した末に選んだのは、JR関内駅の北口から関内大通りを海に向かい進み、尾上町の交差点を渡ると直ぐに目につくこの店だった。
築地銀だこハイボール酒場 関内店
関内大通りと常盤町通りの交差点の角にあるこの店の立地は、関内の入口と呼ぶにふさわしい場所。
幾多に渡り関内を連れまわしているというのに、迷子になっては困ると情けないことを言うアイツとの待ち合わせに、ココなら打ってつけの場所だろう。
アイツはどっちから来るんだ?
連休の初めは天気が崩れる日が何日かあったが、5月に入って数日たった連休の中日からは、初夏を思わせるような日となった。
休み前の最高の天気の中の昼下がりには、ショワショワした飲み物で喉を潤し、明るいうちから気分を上げていきたくなってしまう。
まさか迷子になってはいないだろうな?
これ以上にない場所にあるお店で待ち合わせをしてやったのに、道に迷っているわけではなかろうか。
ちょうど待ち合わせの時間になったというのに、常盤町通りを見ても、関内大通りを見ても、アイツの姿はまだない。
まぁ、いいか。
ガラス張りになった店頭では、軽やかな手さばきで、軽快にクルクルとたこ焼きを焼いている姿が見える。
ショーでも見ているような気にさせてくれるその姿に、普段なら少しでも待つことを嫌う胃袋も、「許してやれよ」と、穏やかな気持ちになってしまう。
それにしても見事だ。
綺麗に整列する可愛らしいフォルムのたこ焼き。そこに焼き場の大きなガラスから差し込む西日。
その何とも言えない光と色の調和が、神秘的な輝きをたこ焼きに吹き込む。