…。
わ、分からない。
見たことも聞いたこともない工程が目の前で繰り広げられ、既にボキャブラリーの限界に達してしまったのか…。
いや、それではダメだ…。
ちゃんとこの秀逸な一品も、絶賛の言葉の嵐で表現していかなくては…。パンの器のポタージュスープに、高木シェフの遊び心を隠し味にしたチーズが纏われたこの一品を如何に表現するか…。
ふぅぅぅ~
モグモグ隊:
あの~。
さっきからずっと思っていたんですが、ようは食べちゃえば良いんじゃないですか?
食べる前から表現しようとしても判らないこともありますよね。
ほら!
スプーンを入れて見たらわかるじゃないですか!
こんなに伸びるチーズに、黄色いポタージュ。かぼちゃの甘さを優しく包んでいるチーズって感じかしら。
それにチーズでしっかり蓋をしていたから、ポタージュが温かいままで素敵に美味しいですっ!
モグモグ隊:
チーズとポタージュを楽しんだ後は、パンを楽しむ順番ですね。
きっとヒタヒタにポタージュがしみ込んで、一段と柔らかくなったパンを楽しむ順番。
なるほど!
って、おい!!
何かと調子を狂わせてくれる子だ。
これほど珍しい一品をただ食べて表現するだけなど、秀逸なまでに超越したビジュアルに失礼ということなのだ。
いや…、待てよ。
この子が言うのも正しいのかも知れんな。
ビジュアルがそれだけでも素晴らしい一品だからこそ、ただ黙ってその味を静かに愉しむ。感動を静かに味わい、静かに衝撃に酔いしれていく。
ここでも見つけちまったようだ。
あれあれ?
黙々とシェフは何をやっているんだ?