もし本当にこの上にBarがあるとすれば、間違いなく今のこの気分にぴったりな店になるだろう。
それに飲み歩きの経験からも、屋上にあるBarは雰囲気が抜群だと相場が決まっていることはわかっていた。
本当か…。本当に屋上にBarがあるのか?
違う角度から見上げてみても、屋上に明かりが浮かび上がっているのが確認できる。
こんなところにBarがあっただろうか?
狐にでもつままれた気持ちになったが、どうやらこの上にBarがあることは間違いないようだ。
なぜこんなところにインターホンがあるんだ?
そうか。
階段を上がった後に満席で入れないと、上がった苦労が水の泡になるからか。
上がってくる前にちゃんと確認しろということか…。
ここにしよう。
この店は間違いない。もう心は確信していた。
今日は何だか階段に縁があるな。県庁の取材でも階段を上り下りし、疲労しているはずだった足は、それがまるで無かったかのように軽快に階段を上っていく。
脳より先に、足がそのBarを求めているようだった。
カツン、カツン、カツン
後からついて上がってくるアイツのヒールの音が軽快に響く。
踊り場で折り返し、更に
カツン、カツン、カツン、カツン