2016年12月28日(水)

JR関内駅北口が大きく変わります。果してどのように変わるか?

アバター画像 佐野 文彦

JR関内駅は現在、2017年度の完成に向けて、駅北口のバリアフリー化を目指す工事を実施しています。関内駅、特に駅北口付近は長らくバリアフリー化から立ち遅れていました。なぜ遅れていたかなどを、歴史的な観点や立地的な環境などから小紙も調べてみました。

JR関内駅の工事がずいぶん大掛かりですが

JR関内駅の北口は、関内CERTEビルと直結している通路もあるなど、馬車道や関内の飲食街に行くために多くの人々に使われています。

ただ、利用する人口のわりに通路が狭く、反対側から歩いてこられる人とぶつかりそうになるなど、今一つ不便な点がありました。

そんな北口出口付近が、2015年5月から自動券売機の位置を変更するなどの大規模な工事をおこなっています。

防護壁に張り出されている内容や、「横浜市都市整備局」発表の資料によると、このような変更および改良がなされるそうです。

  • 工事は2017年(平成29年度)まで行う
  • 新しくエレベータを設置して、北口改札口付近をバリアフリー化する
  • 北口に「駅前歩行者広場」を作り、歩行者の流れをスムーズにする
  • 北口改札口を、今よりも南側に移動する
  • ホームに登る階段が、今よりも南側に移す
  • ホーム→階段→改札口の人の流れを一方向にまめる
  • 駅舎の中に「保育施設」を整備する予定

エレベータが出来る点、方向感覚がおかしくならない点でとても使いやすくなります。保育施設が計画されていることも嬉しいですね。

「北口の改札口が数十メートル南側へ移動する」ことについては、最初は少し戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れることでしょう。

そういえば、現在の関内駅北口の様子はこんな特徴がありました。

  • ホーム→階段→改札口で、歩行方向が半回転するので、人によっては方向感覚を失う
  • 出口近くに大きな交差点があり、信号待ちできる場所が狭いので、信号待ちする人々が改札近くまで続いてしまう
  • エレベータやエスカレータを設置される予定が、今までなかった

このように短所ともいえる特徴をもつ関内駅は、駅が開業した当時の立地環境が大きく影響したと考えられます。

関内駅は最初は橋だった

こちらは現在の関内駅です。大通り公園の入り口にあたる交差点から撮影してみました。

一見何ということはない高架駅ですが、ふと見ると、駅を支えている脚が橋脚のように見えます。さらに駅舎全体が、何だか川の上の橋のようにも見えてきました。

現在、関内駅の改良工事に用いられている防護壁には、昔の駅や付近の街並みを映している写真が陳列されています。

その中に、このような写真がありました。

横浜市史資料室所蔵資料

駅舎が正真正銘、川の上に架かる「橋」のようになっています。駅舎を支える脚も、川の上の橋脚のようになっています。

ちなみにこれは、「派大岡川」を埋め立てる工事のときの写真です。上の方に関内駅が映っています。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、JR根岸線の関内駅付近の陸側を沿って走る道路や首都高速道路のところは、1960年代までは「派大岡川」という運河だったのです。

同じように「大通り公園」も「吉田川」という運河でした。

これら二つの運河は、当時の横浜市都市開発計画にのっとって埋め立てられ、首都高速道路や横浜市営地下鉄が下に通されたんですね。

話を戻して、この写真の通り、JR根岸線は派大岡川の上に橋を平行に架けて線路を通し、その橋の上にJR関内駅(当時は国鉄関内駅)が設置されました。

関内駅の市役所側のようすを映す写真は今回入手できなかったのですが、北口側(馬車道側)出口の写真は防護壁に陳列されていましたので、入手することが出来ました。

横浜市史資料室所蔵資料

派大岡川の上を走っていたころの関内駅北口は、ホームの端に階段を設置して、その先に改札口を設けて、今の関内大通りに出口を繋げていますね。

派大岡川埋立が終わってからは、現在の関内駅のようなつくりになったようですが、ホームから地上に降りる階段はそのまま維持されているようです。

現在の駅舎は、階段と関内大通りの間には男性女性のトイレがありますが、きっと多くの乗客からの強い要望があったのでしょう。改札口の位置が階段を下りて180度ターンする場所に移動する必要があったように想像できます。

今までの関内駅の問題点

ここ10年ほどで、日本中の駅のバリアフリー化が進み、各駅にエレベーターやエスカレーターを設置する動きが加速しました。

関内駅も、市役所側出口(南口)にはエスカレーターが設置されましたが、北口には何も設置されないまま長い時間が経過していました。

恐らく、階段を下りて180度ターンして改札を抜け、両側の階段の下を通って駅の外に出る構造では、エスカレーターの設置工事は人の流れを妨げるので困難。

単純にエレベーターを設置すると、改札の外側にエレベーターが出来てしまう。

バリアフリー化工事には、大がかりな駅の改装工事が必要で、多くの資金を要する。ということで、工事の計画が進まなかったのではと思います。

ただし、JR関内駅北口のバリアフリー化の要望は年を追うごとに高まっていたのでしょう。

そのような矢先2007年に、国土交通省鉄道局所管で「鉄道駅総合改善事業費補助(連携計画事業)」という制度が施工されました。

制度および元となる法律の規定に従えば、国から事業費補助がもらえるというものです。

今回この制度を適用することで、関内駅北口バリアフリー化工事の費用分担が、国・JR・横浜市で3分の1ずつとなり、大規模な工事が出来るようになりました。

またこの「連携事業」適用が、日本全国でみても最初の事業だったそうです。

何をおいても、関内駅北口にエレベーターが設置されることで、ベビーカーをおろすのに大変なお母さんや、階段歩行が大変なお年寄り、駅員さんかどなたかの介助がないと改札口までたどり着けなかった車椅子利用の皆様には、またとない朗報かと思いました。

おわりに

今回の工事で、関内駅がより使いやすい駅になり、馬車道やさくら通りの飲食店街、さらには伊勢佐木モールの方にも足を運びやすくなることを期待したいですね。

この記事の著者

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佐野 文彦博士

滋賀県で生まれ、学生時代を福井で過ごす。社会人になってからは、横浜を生活拠点としている。本業の傍ら、ジャズやゴスペル・ファンクなどでサックス演奏や、コーラスグループでの合唱活動も行っている。横浜が自分の歌や演奏で満ち溢れるといいなどと、大風呂敷な夢を持ち歩いている。彷徨うような街歩きが大好き。

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